長期ビジョンと同時に発表されたコンセプトカー:Chill-Out《写真提供 日産自動車》

日産自動車は11月29日、内田誠社長とアシュワニ・グプタCOOがオンラインで会見し、電動化の推進を中心とした2030年までの長期ビジョン「日産アンビション2030」を発表した。

ビジョンでは、2030年度までに15車種の電気自動車(EV)を含む計23車種の電動車を導入し、グローバルでの電動車の比率を50%以上とすることを目指す。こうした電動化の実現に向け、26年度までの5年間で約2兆円を投資する計画を示した。

また、26年度までの段階ではEVとハイブリッド車(HV)技術である「e-POWER」搭載車を、合計で20車種投入していく。これにより、主要地域での同年度の電動車販売比率は、日本で55%以上、欧州では75%以上、中国は40%以上とする方針を示した。米国については30年度までにEVのみで40%以上とする計画だ。

電動車の拡充を裏付けるバッテリーの供給(調達)については、世界各地のパートナーと協力しながらグローバルでの生産能力を26年度までに52GWh、30年度には130GWhとしていく。バッテリーの原価低減についても、リチウムイオン電池ではコバルトを使わない技術の確立によって、28年度までには容量1kWh当たりのコストを現在比で65%削減する目標とした。

次世代バッテリーの中核を成す全固体電池については、自社開発品を搭載したEVを28年度までに市場投入することを目指すとしている。24年度までには横浜工場内にパイロット生産のライン導入を図る方針だ。

全固体電池は技術やコストの改善も推進し、充電時間は現状のバッテリーに比べて3分の1に短縮させる。さらに容量1kWh当たりのコストは、28年度に75ドル程度とし、その後もEVをガソリン車と同等レベルのコストにできるという65ドル程度まで引き下げることを目指していく。

発表会見で内田社長は長期ビジョンについて「これから10年をかけて日産が進んでいく方向を示す羅針盤となる。実現に向けてさまざまな業界、政府、自治体と力を合わせて取り組むため、『共に切り拓く、モビリティとその先へ』というスローガンとした。私たちが強みとする電動化技術と知能化技術を柱に据えて、日産ならではの価値を提供していく」と語った。

次世代バッテリーの全固体電池の市場投入やコスト低減目標については「具現化していくために、これから一番頑張らなければならないが、われわれが培ってきた経験と技術を全面に押し出し、(成果を)皆さんにお見せしていきたい。日産としても、私個人としても自信はある」と強調した。

長期ビジョンと同時に発表されたコンセプトカー:Max-Out / Surf-Out / Hang-Out《写真提供 日産自動車》 日産自動車、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表《写真提供 日産自動車》 全固体電池を活用したプラットフォーム(イメージ)《写真提供 日産自動車》