最新鋭AI×3Dシミュレーター「iPerfecta」発表会(10月25日/東京・大手町)に登壇したゼネテック上野憲二 代表取締役社長、BIRD INITIATIVE 北瀬聖光 代表取締役社長 兼 CEO、ゼネテック  柏山正守 執行役員 DX 事業本部長、BIRD INITIATIVE 木佐森慶一 Head of assimee company《写真撮影 大野雅人》

「BIRD INITIATIVE の純国産AIテクノロジー『assimee』と、米国の3Dシミュレーションソフト『FlexSim』の日米最新技術コラボ、『iPerfecta』(アイパーフェクタ)で、世界へ打って出る」。そう語るのは、FlexSim 日本総代理店を務めるゼネテック上野憲二代表取締役社長。

製造業むけデジタルソリューションをコア事業とするIT企業 ゼネテック(東京都新宿区)と、シミュレーション×AI技術による共創型R&D(研究開発)を手がける BIRD INITIATIVE(東京都中央区)は、ゼネテックが日本総代理店を務める3Dシミュレーションソフトウェア「FlexSim」に、BIRD が持つAI技術「assimee」を統合させ、高精度かつ高速にデジタルツインのモデリングと仮説検証が行える新たなソリューション「iPerfecta」(アイパーフェクタ)を共同開発。FlexSimのアドオン機能として、10月25日から販売を開始した。

サイバー空間上に物理世界の情報をすべて再現するデジタルツインを構築するトレンドのなか、FlexSim は、世界81か国で利用され、機能や汎用性・操作性などで業界トップ評価を獲得した離散事象解析3Dシミュレーションソフト。

軽量な3Dグラフィックで「人・モノ」の流れを計算。機械や作業員の稼働率・作業負荷・作業時間など多岐にわたる情報を分かりやすい円グラフや折線グラフ(ダッシュボード)を使って一元的に表示。製造・物流現場のデジタルツインを構築し、稼働率や生産数が最大になる最適解を算出する機能も備えている。

米国ユタ州の FlexSim Software Products, Inc.が開発するこの FlexSim は現在、Amazon、Apple、Google をはじめ、テスラ、フォード、フォルクスワーゲン、ボルボ、トヨタ、日産、ミシュランタイヤ、ボーイングなど、自動車・航空機産業なども採用している。

この FlexSim に新たにオプション追加設定される assimee は、BIRD が開発する“純国産AIソリューション技術”。デジタルツインを活用し、生産ラインや倉庫レイアウトの最適設計、構築、運用を実現するAIソリューションとして知られる。

FlexSim などのシミュレーションソフトは、工場の生産ラインや倉庫の配置を「見える化」するいっぽうで、設定するパラメータが多く、現実世界を再現するためには多くのデータが必要で、現実世界を再現してからもパラメータの組み合わせが膨大で最適解を見つけ出すのに時間と労力がかかるなどの課題があった。

そこで assimee は、少ないデータから「現実を正確に再現」し、「KPIを最大化」するようにパラメータ群を高速・高精度に自動調整し、これらの課題解決を支援。同ソリューションは、NECと国立研究開発法人が共同開発したAIシミュレーション融合技術をベースとしている。

10月25日に都内で開いたゼネテック・BIRD INITIATIVE 共同発表会では、最新鋭AI×3Dシミュレーター「iPerfecta」発表会(10月25日、東京・大手町)には、ゼネテックの上野社長、BIRD INITIATIVEの北瀬聖光代表取締役社長兼CEO、ゼネテックの柏山正守執行役員DX事業本部長、BIRD INITIATIVEの木佐森慶一Head of assimee company らが登壇。

今回、FlexSim に assimee をオプション追加設定させて「iPerfecta」(アイパーフェクタ)として世界へ展開させるアドバンテージについてそれぞれが解説した。

◆iPerfecta は結果から過程をAIが推定、精巧なデジタルツインを生成

iPerfecta の特長は、従来よりも少ないデータで精巧なデジタルツインを構築し、現実を正確に再現できること。また、得たい「結果」にもとづく全体最適化、成果最大化のシナリオを高速・高精度で導けること。

「結果から逆算して、その結果までのプロセスをAIが推定する。たとえば、増産やエネルギー排出削減など、得たい結果を先に入力し、必要な「打ち手」を求める逆問題でアプローチする」という。

「具体的には、FlexSim 単体だと、3Dモデルとパラメータ値を入力しシミュレーションをかけ、出荷量などが決まる。そこを iPerfecta だと、達成したい出荷量データ結果をもとに、パラメータ値などをAIが推定してくれて、さらに理想の生産量を実現する現場を構築できる」

「iPerfecta は、自動車メーカーをはじめ、広く製造事業者・物流事業者等を対象に、新規・既存を含む生産ラインの計画や生産設備・配置計画などに適用できる。ゼネテックが販売元として10月25日から国内販売を開始し、5年間で300ライセンスの販売をめざす。国内に加え海外向けにも、グローバル展開する製造業・物流業が活用できるよう、販売体制の整備をすすめる」

「クルマでたとえると、FlexSim がエンジン。assimee がターボ。両技術の合体で世界一速い3次元シミュレーションが実現できる。この日米コラボ技術で、テスラや Amazon へも iPerfecta を売り込んでいく」と意気込むゼネテック。ライセンス費用とSI・コンサルティング等費用を合わせた価格は、2000万〜5000万円という。

最新鋭AI×3Dシミュレーター「iPerfecta」発表会(10月25日/東京・大手町)《写真撮影 大野雅人》 最新鋭AI×3Dシミュレーター「iPerfecta」《写真撮影 大野雅人》