ドゥカティ モンスター 新型《写真撮影 雪岡直樹》

車名は排気量表記を取り去ったシンプルなものとし、フレームも伝統の鋼管トレリスタイプからアルミ製フロントタイプに変わった新生ドゥカティ『モンスター』。それは乗り味などキャラクターの面でも従来とは大きく変化していた。

◆グッとスリムでコンパクトになったサイズ感



跨ってみると、従来からグッとスリムでコンパクトになったサイズ感。車重もとても軽く感じられる。これまでは幅広かつ遠目で広いハンドルを上からライダーが押さえつける感じのライポジが、独特のモンスターらしさでもあったのだが、今回はハンドルバーも近くて自然な雰囲気。

足着き性に関しても、もともとスリムな上に日本仕様は標準でローサス&ローシート仕様。まるで650ccや400ccクラスに跨っているような錯覚を覚えてしまう。

◆ハンドルの切れ角が7度も増え、街乗りの取り回しも快適



まずはライディングモードを「アーバン」にセットして、街中を走行。穏やかなパワーの立ち上がりと軽くてナチュラルなハンドリングが印象的だ。低めに設定した重心やシート高もドゥカティでは珍しく、“モンスター”とは名乗っているもののちょっと拍子抜けするくらい。

ただ、その中にもLツインの鼓動感や、パルスの効いた加速感といった従来からの楽しみは程よくミックス。飽きさせない工夫が施されている。そして、新型で特筆すべきは先代「821」と比べて片側で7度も増えたハンドルの切れ角。車重の軽さと両足裏ベタベタの足着き性が加わることにより、Uターンが驚くほど得意となり狭い道でも軽々とこなせるようになった。

◆スーパーバイクのようなパンチ力の効いた加速感

次に高速道路に突入。ここでは「スポーツ」モードにセット。スロットルをガバっと開けていける。ここではモンスターらしいスーパーバイクのようなパンチ力の効いた加速感を存分に楽しめる。

パワーはやっぱりリッタークラス。ネイキッドならこれだけあれば十分だ、クイックシフターも街中ではトルクが厚いためにシフトチェンジの際に強めのショックが入ってしまっていたが、高速では街中より全然軽くて爽快。6000〜7000rpmあたりまで引っ張ったところではペダルに触れるだけでバンバンとシフトアップしていくような動きを見せる。



元気なエンジンに対してサスはちょっと柔らかめな設定だが、これが実に考えられていると思う。というのも、フロントブレーキにはブレンボのキャリパーを採用しており絶対的なストッピングパワーはもっと出せるはず。ただ、そうなるとコントロール性は損なわれてしまう。

ブレンボの強力すぎる制動力を柔らかめのサスでいなすことによりストリートシーンでの取り扱いを両立している。首都高の継ぎ目を通過しても突き上げ感はきつくなく、乗り心地の面でも疲れや不快感は大きく減少するだろう。

◆スポーツライディングの基本を教えてくれる

峠では3000rpmくらいの低い回転から自在にマシンを操ることができる。スロットルのオンオフだけで寝かし・起こしができるといったところや、ステアリングをちょっと押してみたり引いてみたりしたときの力の入れ具合でマシンの動きが大きく変わるところは、まさにスポーツライディングの基本を教えてくれる感じでとにかく楽しい。

街中から含めて一般的な使い方では6000rpmくらいまでの扱いやすい領域でほぼ事足りるだろう。しかし、新型はエントリー向けだけのマシンというわけではない。6000rpmを超えると荒々しい獰猛ぶりが顔を覗かせ、8000rpmも回せばパッキーンとしびれるようなパワー感でベテランライダーやドゥカティファンも十分に納得。

新型モンスターはスポーツバイクとドゥカティLツインらしい楽しさを、実に手軽に街中や峠、エントリーからベテランまで間口を広げることに成功したマルチな注目モデルになっていた。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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