三菱電機《写真撮影 高木啓》

鉄道車両向けの空調機器の検査不正問題が発覚した三菱電機だが、製造していた長崎製作所では、架空の検査データを算出するためのパソコンの「専用プログラム」が使われるなど、偽装が組織的に行われていた疑いが強まっている。

6月30日朝刊に次いで、きょうも朝日と毎日が1面トップ記事で「数値偽装に専用プログラム、組織的不正か」(朝日)、「偽装プログラム検査不正架空データ算出」(毎日)とのタイトルで報じている。この2紙がほぼ同じ内容の記事で、しかも2日連続1面トップで取り上げるのも興味深い。ちなみに、他紙も追随しているが、三菱電機が発表した、鉄道車両のドアの開閉やブレーキの操作に使う製品の一部でも新たに不正検査があったことなどを中心に取り上げている。

三菱電機では架空の数値を検査成績書に記入し、検査したように装っていた専用のプログラムを1985年頃から使われていたようで、長年にわたり計画的に不正な検査をしていた疑いも浮上した。

きょうの各紙は総合面や経済面でも「三菱電機品質軽視、ゆがんだ効率重視」(読売)、「三菱電機不正見えぬ全容」(朝日)、「三菱電機やまぬ不正検査、株主『不祥事のデパート』」(毎日)。さらに、「企業統治不全あらわ、三菱電機、相次ぐ不正」(産経)、「三菱電機、内向き脱却遠く、相次ぐ不祥事縦割り背景」(日経)などの見出しが目を引く。

東京は社説でも「安全性軽視が甚だしい」として、「製品の安全性を軽視する姿勢を強く批判したい」などと取り上げている。

株主が指摘する「不祥事のデパート」と言えば、同じスリーダイヤでは、長年にわたりリコール隠しや燃費不正が相次いだ三菱自動車が“元祖”。当時、家電量販店に行くと、店員が「電機は関係ないのに三菱のマークが付いているだけでお客は冷ややかな目を向ける」と嘆いていたことを思い出す。

かつて不祥事ては“老舗デパート“の三菱自動車の経営トップが「築城3年落城1日」と話していたが、「組織の三菱」とも呼ばれているほど結束力の強い三菱グループだけに、再びスリ―ダイヤの信頼とブランドイメージが失われるのが懸念される。

2021年7月1日付

●首都圏コロナ再拡大鮮明、新規感染東京714人「ステージ4」水準(読売・1面)

●日航、LCCてこ入れ、コロナ後へ5月、成田発着の国内外線(読売・8面)

●ルノーが30年最大9割EV(読売・8面)

●三菱電機、組織的不正か、数値偽装に専用プログラム、鉄道用空調(朝日・1面)

●車の保険料目安、3.8%引き下げ(朝日・6面)

●JR東、三菱空調9800台、他のJRや私鉄も導入(毎日・7面)

●ガソリン価格が4週連続で上昇(毎日・7面)

●あおり運転摘発95件、厳罰化1年、急ブレーキ最多(産経・2面)

●JR東五輪中1〜2時間終電延長(東京・26面)

●神鋼、EVモーター軽量化、航続距離の延長後押し(日経・16面)