
ポルシェ(Porsche)は6月24日、『911 GT2 RS』がドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいて、最速の市販車になった、と発表した。そのラップタイムは6分43秒300で、従来の記録を4.747秒短縮している。
911 GT2 RSは、先代の「991型」ポルシェ「911」シリーズをベースにした高性能モデルだ。直噴3.8リットル水平対向6気筒ツインターボエンジンをベースに、可変タービンジオメトリー(VTG)を持つ大型ターボチャージャー、新設計の吸気システムなどを採用した。この結果、ポルシェの市販車としては、史上最強の最大出力700ps/7000rpm、最大トルク76.5kgm/2500〜4500rpmを獲得した。
トランスミッションは、専用ギアレシオの7速PDKで、駆動方式はRR(2WD)だ。911 GT2 RSは、0〜100km/h加速2.8秒、最高速340km/hというポルシェ史上、最速のパフォーマンスを実現している。
◆純正の「マンタイパフォーマンスキット」装着
ニュルブルクリンク北コースのタイムアタックに使用された911 GT2 RSには、「ポルシェ テクイップメント」の純正オプション、「マンタイパフォーマンスキット」が装着された。マンタイパフォーマンスキットは、ポルシェのモータースポーツパートナーの「マンタイ」の持つノウハウを注入して開発。欧州の顧客はポルシェ販売店で注文でき、他の世界市場にも拡大展開される予定だ。マンタイパフォーマンスキットを装着した911 GT2 RSには、ポルシェの保証が適用される。
マンタイパフォーマンスキットは、911 GT2 RS用に特別に開発されたシャシー、空力パーツ、ブレーキコンポーネントで構成されている。また、「ヴァイサッハパッケージ」の軽量マグネシウムホイールも含まれる。空力パーツは、フロントスポイラーにフラップを追加した。カーボン製アンダーボディと前輪のエアガイドトリムとの組み合わせにより、フロントアクスルのダウンフォースを増加させる。200km/hで走行時のダウンフォースは49kgから70kgに増加。リアアクスルでは同じ速度で93kgから200kgに増加する。これは、新開発のリアスポイラー、専用のディフューザー、後輪のエアロディスクの効果という。
◆ポルシェとマンタイのモータースポーツの経験を注入
サーキット向けにチューニングされたサスペンションは、ポルシェとマンタイの長年のモータースポーツでの経験が生かされている。フロントのショックアブソーバーは3段階、リアのショックアブソーバーは4段階に調整できる。
セラミックブレーキシステムの「PCCB」用のレーシングブレーキパッドは、レスポンスとコントロールの精度を向上させながら、フェードを低減させたという。スチールで覆われたブレーキラインは、ダイレクトなペダルフィードバックを狙ったものだ。
また、冷却用のインタークーラースプレーの水タンクは、容量を約9リットル増加させている。フロントが20インチ、リアが21インチのマグネシウムホイールは、11.4 kgの軽量化を実現。ホイールの色は、ブリリアントシルバー、ブラック、オーラム、ホワイトゴールドメタリック、プラチナが選択できる。
◆メルセデスAMG GTブラックシリーズの記録を4.747秒短縮
6月14日、公証人の立会いのもと、ポルシェの開発ドライバーのラーズ・カーン氏が、タイムアタックを実施した。目標は、メルセデスAMG『GTブラックシリーズ』が2020年秋に打ち立てた6分48.047の市販車最速記録を更新することだ。
ニュルブルクリンク北コースは1周20.8km、コーナー数73という世界で最も厳しいサーキットとして知られる。自動車メーカーが、開発テストを行う場所としても有名だ。
真夏のコンディションと41度の路面温度にもかかわらず、911 GT2 RSのベストラップタイムは6分43秒300。メルセデスAMG GTブラックシリーズの記録を4.747秒短縮している。平均速度は185.87km/hだった。















