ルネサスのチップ《写真提供 ルネサスエレクトロニクス》

「本当に奇跡的に生産再開を実現するところまでたどり着くことができた」---。半導体大手のルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は、主力工場の火災から1か月後、ネット上での記者会見を開き、取引先の自動車メーカーなどから手厚い支援を受け、想定よりも早く復旧ができたことを明らかにした。

茨城県にある那珂工場の火災は3月19日に発生。火災で停止していた那珂工場については、当初目標よりも早く今月17日に一部が稼働し、生産を再開していたが、4月中に50%、5月中には元に戻る見通しだという。

那珂工場では、車の走行などを制御する半導体「マイコン」を生産。自動車メーカー各社も復旧に向けて全面支援に乗り出した背景には、世界的に半導体がひっ迫する中、生産停止が長引けば自動車の生産計画にも影響が出ると判断したからだが、柴田社長も「通常では考えられない支援をいただいた」と重ねて強調した。

きょうの各紙にも「ルネサス半導体来月回復、那珂工場生産見通し、火災前水準に出荷は6〜7月」(読売)や「ルネサス出荷、7月正常化」(日経)などと大きく取り上げている。たたし、生産能力が戻っても、製品を出荷できる状態に仕上げるまでには時間がかかる。自動車メーカーなどへの出荷量が元の水準に戻る時期は「火災から100日前後」との当初より7〜10日ほど遅れて6〜7月になる見込みで、国内の自動車生産は当面綱渡りの状態が続く可能性がある。

奇跡的な復旧があたかも「美談」のようにも思われがちだが、地震などの自然災害ではない工場火災で多大な迷惑をかけたという経営責任は免れないだろう。

2021年4月20日付

●来春の採用二極化、コロナ禍観光・運輸大幅減,101社調査(読売・4面)

●ルネサス半導体来月回復、那珂工場生産見通し、火災前水準に出荷は6〜7月(読売・2面)

●社説、無人運転、安全確保の仕組み作りを急げ(読売・3面)

●脱炭素へEV競演、上海モーターショー、トヨタ15車種投入、25年まで(読売・10面)

●大阪緊急事態要請へ、東京も要請調整、飲食店や百貨店休業想定(朝日・1面)

●全日空機内結婚式できます、祝福アナウンスも(朝日・9面)

●事故撲滅へ決意新た、池袋暴走2年(毎日・24面)

●トヨタ系118組合賃上げ前年比減、3年春闘(産経・11面)

●「五輪、もし中止なら」ホテル募る不安(東京・23面)

●トヨタ、EVも原価低減、アップルカーや鴻海参入に対抗、スバルなどと部品共通化(日経・13面)

●ホンダ勢、雨天の発進改善、F1第2戦今季初V(日経・37面)

トヨタ bZ4X《photo by Toyota》 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ、F1エミリア・ロマーニャGP)《写真提供 ホンダ》