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日本自動車工業会は4月19日、2020年度に実施した「普通トラック市場動向調査」の結果をまとめた。

調査は、普通トラックの保有・購入・使用実態、輸送ニーズの変化と対応や、物流を取巻く市場環境の変化を時系列的に捉え、隔年でアンケートを実施しているもの。今回はユーザー調査のみを実施し、ドライバー不足に関する意識・意向、フルトラクタの需要動向と課題、安全に対する意識、新型コロナウイルス感染症の影響についても調べた。調査対象は全国の普通トラックドライバーおよび保有事業所で、合計1329の回答をまとめた。

経営状況については、運輸業・自家用ともに前回(2018年度)は好転の兆しが見えたものの、2020年の新型コロナウイルス感染症流行の影響により「悪化」が大幅に増加。2年前と比べた荷扱量水準も、運輸業平均で前回100.6%から92.0%へ減少、自家用99.4%から92.5%へ減少し、20114年度以降で最も低い水準となっている。新型コロナウイルス感染症による事業所全体への影響では、「売上が減少した」が運輸業で約7割、自家用で6割半ばと多くを占め、運輸業では輸送業務でも「トラックの運行回数が大幅に減った」「輸送業務の中止・延期が発生した」が4割強と大きな影響があったことがうかがえる。

ドライバー不足・ドライバーの高齢化については、運輸業で半数以上の事業所が問題として挙げており、特に大型免許保有者の不足感が高い。ドライバー確保のため、「労働時間の適正化」「給与の引き上げ」「資格取得の支援」「休暇制度の充実」等、労働条件の整備を中心に取り組みが行われている。今後実施したい人材活用施策については、「女性ドライバーの活用」が引き続き高い状況にある。また、ドライバー不足解決のために荷主への協力要望として、「荷待ち時間の短縮」や「運行時間帯の最適化」が4割以上と高く、「荷役作業の分業化・分担の明確化」も2割ほどある。

車両全長が25mまで緩和されたフルトラクタについては、導入済みの事業所は運輸業で6%、自家用で2%にとどまり、導入予定なしという事業所は約6割にのぼる。導入にあたっての不安点としては、「運行経路が限定される」「けん引免許保有者の確保、免許取得が難しい」「自社だけでの運用が難しい」が上位となっており、導入のハードルとなっている。

交通事故防止安全対策については、運輸業では「乗務前の酒気帯び運転の確認」が最も多く、「ドライバーの健康管理」「乗務前の対面点呼」も上位で、この2点は前回に比べて増加。自家用では「荷崩れ等の積荷保全徹底」「ドライバーの健康管理」が上位で、それぞれ前回より増加している。安全サポート機器について、運輸業で最も多く挙がったのは「ドライブレコーダー」、次いで「バックアイカメラ・バックモニター」。また、テレマティクスについては、現在・今後も利用予定がない事業所は、運輸業で4割、自家用で6割にのぼる。

新型コロナウイルス感染症の影響については、運輸業・自家用ともに売上減少の状況にあり、運輸業ではトラック運行回数減少、輸送業務の中止・延期もあり、普通トラックの稼働状況も「繁忙」の割合が2割近く減少し、「休車」は1割弱増加という厳しい状況となった。ドライバーの労働環境にも影響があり、運輸業では「マスク・消毒等の衛生用品が不足した」が6割弱、「乗務前アルコール検知器が共用のため念入りな消毒等手間が増えた」が4割弱と高く、保有台数の多い大規模な事業所ほど影響が大きくなる様子もみられた。