UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入

自転車やキックボードといった、身近にある“モビリティ”も電動化のトレンドにあるなか、UL Japan が新たな先手を打って出た。

米国の第三者安全科学機関 UL Inc.(イリノイ州ノースブルック)の日本法人 UL Japan は、バッテリーとその関連製品の安全性向上をめざした試験設備を新たに設置。その説明会をオンラインで実施し、UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部 松岡雅子 事業部長や、仲川雄揮氏らが登壇した。

バッテリー関連試験設備を新設した現場は、三重県伊勢市の伊勢本社内。そこに高容量バッテリー試験に対応する中型防爆槽(2基)や多目的加圧試験装置、排煙・消火設備付振動・衝撃試験機、サーモグラフィなどを新設し、カスタマイズ試験、信頼性試験を含めた包括的な試験・認証サービスを展開する。

対象製品は、産業・モビリティ・民生・住宅用バッテリーセル、軽車両用バッテリー、家庭用・商用バッテリー、パワーバンク(モバイルバッテリー)など。対応規格は、UN 38.3・IEC 62619・IEC 62660・IEC 62133・UL 2271・UL 2580・UL 1973・SAE J2464・JIS C8715 などだ。

耐類焼や外部短絡、過充電・過放電などの試験を行う中型防爆槽は、不具合発生時のリスクが比較的高い高エネルギー密度や、高用量バッテリーセルやパックを故意に燃焼させる試験に対応する。

また多目的加圧試験装置は、荷重0.1〜2.0kN・2.0〜20kNに対応し、速度は0.1〜150mm/s。平板・半球体・半円柱(1・2連)・釘刺しなどの各種治具を備える。

この中型防爆槽と多目的加圧試験装置を組み合わせることで、高エネルギー密度や高用量バッテリーセルやパックの破壊試験を安全な環境下で実施できるようにした。

同社 松岡事業部長は、「試験プランの提案から認証取得までひとつの窓口にて対応でき、認証試験・申請をULネットワーク内で完了できる。また、中型防爆槽など適切な設備利用で試験コストを抑え、包括的なサービスで人的費用・輸送費用の削減できる」とメリットを伝えていた。

こうした設備投資で UL Japan は、各種圧壊・釘刺し・強制内部短絡・衝撃・衝突・振動・耐類焼・外部短絡・過充電・強制放電・高度模擬・温度サイクル・高温保持・プロジェクタイル・塩水・浸水・落下といった各種試験を網羅するほか、充放電サイクル・内部抵抗測定なども対応させ、あらゆるニーズに応えていくという。

UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入 UL Japan コンシューマーテクノロジー事業部の松岡雅子事業部長と仲川優揮氏 UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入《画像提供 UL Japan》 防瀑槽 ヒートパッド試験装置 防瀑槽(多目的加圧装置付き) 落下衝撃試験装置(左)と落下試験機(右) UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入 UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入 UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入 UL Japan 、伊勢市に高容量バッテリーに対応可能な試験設備を新たに導入