ルネサス那珂工場(300mm製造ライン、資料)《写真提供 ルネサス》

泣きっ面にハチとは、こういうことを言うのか。東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に発令されていた新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言は3月21日の期限をもって解除されたが、自動車生産に影響を与える世界的な半導体不足についての“緊急事態”はしばらく続きそうだ。

半導体大手のルネサスエレクトロニクスの茨城県ひたちなか市にある那珂工場で3月19日未明に火災が発生。工場内にあるクリーンルームの5%に当たる約600平方メートルが焼け、約600台ある製造装置の2%、11台が損傷したという。

火災で停止した主力の那珂工場の生産ラインについて、1か月以内の操業再開を目指すと発表したが、主に自動車向けの半導体製造を手がけており、世界的な半導体不足が一段と加速し、自動車生産に大きな影響を与えそうだ。

きょうの日経が1面トップで「ルネサス『生産再開1か月』、工場火災,車、追加減産も」とのタイトル大きく報じているほか、読売なども「車各社減産不可避、社長『代替生産を実施』」などと取り上げている。

柴田英利社長が、オンラインで記者会見を開き、「近隣の皆様や取引先にご迷惑とご心配をおかけしておわびします」と陳謝。メッキ装置の一部が過電流で発火したことが原因で、1週間かけて被害の全容把握に努めると説明したという。

このうち、読売は、クリーンルームは半導体製造の心臓部とされ、小さなほこりの侵入さえ許されない。取引先の自動車メーカーなど数社から50人程度の応援を受けて清掃作業を急ぐが「燃えた11台の製造装置の交換が早期にできない懸念もあり、柴田社長は生産再開が目標よりずれ込む可能性を否定しなかった」と伝えている。

また、日経も「半導体は工程が多く一般的に製造に2〜3カ月かかり、供給正常化までに3カ月超かかる計算だ。米中貿易摩擦や需要急増で世界で不足する車載半導体は、2月中旬の米国の大寒波で現地工場が止まり拍車がかかる。自動車メーカーの追加減産のリスクが高まっている」とも報じている。

2021年3月22日付

●4都県緊急事態解除、首相「感染再拡大防ぐ」(読売・1面)

●ルネサス再開に1か月、車向け半導体不足拍車、茨城の工場火災 (読売・2面)

●トヨタ初V、ENEOSの12連覇阻む、バスケットボール・女子Wリーグ (読売・19面)

●Go Toトラベル、感染状況の判断、政府と知事、責任なすり合い (朝日・2面)

●東京五輪かすむ恩恵、海外客の断念決定、経済損失1兆6000億円か (東京・2面)

●大卒採用来春4.4%増、本社一次集計、電機は2桁増 (日経・1面)

●脱炭素特許数、トヨタ首位(日経・13面)

●名古屋開幕6連勝、サッカーJ1 (日経・45面)

ルネサス那珂工場(300mm製造ライン、資料)《写真提供 ルネサス》