ゴードン・マレー・オートモーティブ T.50 のプロトタイプ《photo by Gordon Murray Automotive》

デザイナーのゴードン・マレー氏が率いるゴードン・マレー・オートモーティブは3月15日、『T.50』(Gordon Murray Automotive T.50)が初の走行テストを行った、と発表した。2022年に限定100台を生産する予定だ。

◆運転席とその後方に2座席を設置する3シートレイアウト

T.50は、ゴードン・マレー・オートモーティブの第1号車となる新型スーパーカーだ。車名の「50」とは、ゴードン・マレー氏の自動車デザイン、エンジニアリング、モータースポーツにおけるキャリアが50周年を迎えたことを意味している。

ボディサイズは全長4352mm、全幅1850mm、全高1164mm、ホイールベース2700mm。ポルシェ『911』よりも小さい2ドアのグランドツアラースーパーカーになる。ゴードン・マレー氏がデザインを手がけ、1992年に発表されたマクラーレ『F1』同様、運転席と、そのやや後方に2座席を設置する3シートレイアウトを採用する。

T.50には、独自設計のカーボンファイバー製モノコックを採用する。ボディパネルもカーボンファイバー製だ。ブレーキもカーボンセラミックとした。すべての部品の重量を最小限に抑えることに重点を置いた軽量化戦略によって、車両重量は1トンを下回り、986kg(乾燥重量は957kg)に抑えられた。

◆車体後部の大型ファンはかつてのF1マシンのアイデア

T.50には、先進的なエアロダイナミクス技術を採用した。そのひとつの例が、車体後部に装着される直径400mmの「ファン」。これは、ゴードン・マレー氏が、かつて設計したF1マシン、ブラバム「BT46B」(通称:ファンカー)のアイデアだ。

大型のファンを回転させることにより、フロア下の空気を強制的に後方へ吸い出し、強力なダウンフォースを生み出す。1978年のF1スウェーデンGPに初投入されたブラバムBT46Bは、ニキ・ラウダが操り、いきなりの優勝を成し遂げた。しかし、ブラバムBT46Bは、この優勝限りでF1参戦を禁じられ、伝説のF1マシンの1台となった。

T.50のファンは、可変式の車体下部ダクトとリアウイングを組み合わせることにより、6つの異なるエアロモードが切り替わる。通常走行の「オートモード」では、速度とドライバーの操作に応じて、リアウイング、ファン、アンダーボディディフューザーを最適化する。高レベルの減速が必要な場合、「ブレーキモード」に切り替わり、リアウイングを自動的に展開し、ファンを高速回転させる。これにより、ダウンフォースが2倍になり、安定性とグリップを向上させる。ファンは最高7000rpmで回転する。

他の4つのエアロモードは、ドライバーが選択可能だ。 「ハイダウンフォースモード」はトラクションを強化する。ファンとウイングが連携してダウンフォースを30%増加させる。「流線型モード」では、抗力を10%削減し、直線での速度を向上させると同時に、燃費とダウンフォースを抑える。このモードでは、アンダーボディダクトが閉じられ、ファンが高速で作動する。「仮想ロングテール」状態を作り出す。

◆コスワースと共同開発された3.9リットル V12

ミッドシップに搭載されるのは、コスワースと共同開発された排気量3.9リットル(3980cc)のV型12気筒ガソリン自然吸気エンジン「GMA」だ。最大出力は663ps/11500rpm、最大トルクは47.6kgm/9000rpmを引き出す。

このV12は、1万2100rpmまで回る高回転域志向のエンジンであると同時に、最大トルクの71%は、2500rpmから得られる柔軟性を持つ。トランスミッションは、英国のXtrac製の6速MTを組み合わせる。シフトは「Hパターン」。多くのスーパーカーが採用するデュアルクラッチは、あえて採用していないという。

「Vmaxモード」では、最大出力は700psに引き上げられる。T.50には「ISG」(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と呼ばれる48Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載される。Vmaxブーストモードは、48Vのスタータージェネレーターからの電力により、最大3分間、追加ブーストが得られるモードだ。

◆初テストはゴードン・マレー氏が担当

ゴードン・マレー・オートモーティブは、このT.50の初走行テストを行った。最初の開発テスト走行を実施したことにより、世界で最もドライバー中心のスーパーカーが、主要なマイルストーンを記したという。

エンジン回転数が制限されたプロトタイプ「XP2」は、英国サリー州ダンスフォールドの「TopGear」テストトラックにおいて、初走行を行った。このテストトラックは、T.50が2022年に生産を開始する場所から、程近い。最初の試乗は、ゴードン・マレー氏がステアリングホイールを握っている。

ゴードン・マレー氏は、「T.50はレスポンスが良く、機敏で、運転する喜びがある。運転席は全方位の視界に優れ、顧客に楽しんでもらえる様子が想像できた。今後、さらに多くのプロトタイプを製作し、開発を進めていく」と語っている。

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