四輪総合優勝のペテランセルを、2位アルアティアと3位サインツが担ぎ上げて祝福(まわりの3人は上位3車の各コ・ドライバー)。《写真提供 Red Bull》

ダカールラリーの2021年大会が現地15日、サウジアラビアのジェッダでフィニッシュした。四輪総合優勝はS. ペテランセルで、自身4年ぶり8回目、二輪を含めると14回目のダカール制覇となった。MINIが連覇を飾り、奪冠を狙ったトヨタはN.アルアティアの2位が最高。

四輪総合優勝争いは後半戦、首位ステファン・ペテランセル(MINI)と2位ナッサー・アルアティア(トヨタ)による一騎打ちの形勢で推移した。ペテランセルはステージ優勝こそ1回ながら、シュアでクレバーなリードを守る戦いを展開し、自身4年ぶり8回目の四輪総合優勝を達成。二輪でも6回の総合優勝経験をもつペテランセルは、これで通算14回のダカール総合優勝、まさに偉業である。

ステファン・ペテランセルの談話
「本当にタフな戦いだった。長くリードし続ける展開だっただけに、重圧も大きかったよ。でも、ほぼパーフェクトだったね。隣にエドアルド(コ・ドライバーのEdouard Boulanger)がいてくれたことも良かった。トップレベルのマシンでのダカール参戦は彼にとって初めてだったが、実に素晴らしい仕事をしてくれたよ」

MINIは2年連続の四輪総合優勝、昨年の覇者カルロス・サインツが3位になり、1-3フィニッシュだった。2019年以来の優勝を狙ったアルアティア(とトヨタ)は総合2位、最終的にはペテランセルに14分弱およばなかった(3位サインツは優勝ペテランセルから約1時間差)。

四輪の市販車部門ではトヨタ車体(TEAM LAND CRUISER TOYOTA AUTO BODY)の2台が部門1-2で完走、チーム8年連続の部門制覇を果たした。ウイニングドライバーの三浦昂は自身3年ぶりの部門制覇(三浦のコ・ドライバーはL.リシトロイシター)。

トラックの排気量10リットル未満クラスでも、日野(HINO TEAM SUGAWARA)が12年連続のクラス制覇を成した。今回は菅原照仁の1台エントリー(染宮弘和、望月裕司との3人クルー)で、前半戦途中からは転倒の影響でしばらくの間、見た目に痛々しい状態での走行が続いたが(走りには大きく影響しなかった模様)、休息日以降の後半戦は綺麗な出で立ちに戻り、トラック総合でも12位となった。

二輪の総合優勝争いは後半戦、ホンダやKTMの有力ライダーの脱落が相次ぐ波乱万丈な展開に。そして最終的にはホンダが2年連続の制覇を決めた。優勝はケビン・ベナバイズ、前年覇者のリッキー・ブラベックが2位に続く1-2フィニッシュである。KTM勢の最上位は3位のサム・サンダーランド。

ダカールラリーにとって今大会は2年連続2度目のサウジアラビア開催にして、コロナ禍における実質初大会でもあった。なお、大会途中にはかつて二輪と四輪で総合優勝を飾り、大会運営側でもダカールの発展に尽力したユベール・オリオール氏の訃報が届き、参加者たちが敬意と感謝の拍手を天国のオリオール氏に贈るという感動的な一幕も見られている。

(*本稿の順位、タイム等は日本時間16日18時の段階でのダカール公式サイトの表示に基づくもの)

四輪総合優勝の#302 S.ペテランセル(MINI)。《写真提供 Red Bull》 これで通算14回目のダカール制覇となったステファン・ペテランセル(二輪6回、四輪8回)。《写真提供 Red Bull》 四輪総合2位の#301 N.アルアティア(トヨタ)。《写真提供 TOYOTA》 二輪総合優勝はホンダのケビン・ベナバイズ。《写真提供 Honda》 二輪総合優勝の#47 K.ベナバイズ(ホンダ)。《写真提供 Honda》 トラック総合優勝の#507 D.ソトニコフ(KAMAZ)。《写真提供 Red Bull》 サウジアラビアで2回目のダカールが幕を閉じた(壇上は四輪総合2位のアルアティア。背にしている国旗は彼の国カタールのもの)。《写真提供 TOYOTA》