グラフィットが近日発売するハイブリッドバイクの第二弾「GFR-02」《写真撮影 会田肇》

電動キックスクーターなどモビリティ系ベンチャーのグラフィットは11月25日、電動バイクと自転車を掛け合わせた電動ハイブリッドバイクの新モデル『GFR-02』を近日発売すると発表した。価格は18万円。

◆パワーの出方や自転車モードでの走りやすさを向上。折り畳みもしやすくなった

ハイブリッドバイクはいわゆる“ペダル付き原動機付自転車”で、最大の特徴はバイクモードではハンドル部にあるスロットを回して走行でき、自転車モードではペダルを漕ぐだけで走行できるというもの。

2017年には初代モデル「GFR-01」を発売し、5000台以上を販売した実績を持つ。電動モーターの原動機付きながら持ち運びも可能で、折りたたんでクルマにも楽に積み込めるほか、自宅やオフィスに持ち込むこともできる。

先代の基本的な特徴はそのままに改良を加えたのがGFR-02だ。もっとも魅力的な改良がインホイールモーターの出力で、数値は0.25kWと変わらないものの、トルクカーブを最適化したことで登坂時に必要なパワーを約25%アップ。最高速度は約30km/hで、フル充電で25kmの走行が可能となっている。さらに自転車モード時の走行能力を高めるためクランクサイズを42Tから52Tへ大型化。バイクモードと自転車モードで使い分けができる新意匠のミラーも採用した。

GFR-02で見逃せないのが折り畳み機構の刷新だ。GFR-01ではハンドルポストが左折れとなっており、折りたたんだ際にフレーム間に挟まるようになって収まりが悪かった。GFR-02ではそれを右折れ式に変更し、ハンドルポストは外側に収まるようになって、折り畳み時の作業性がスムーズになっている。折りたたんだときに安定して自立できるようにシートポストの長さも見直した。細かな部分ではハンドルポストの折り畳む部位を一体成形とし、見た目の良さも向上させている。

鍵を持たなくても自分の指でロック解除できる「YubiLock」を前モデルに引き続き搭載。従来モデルではカバーを開いてから一旦スイッチを入れて指紋認証となっていたが、GFR-02ではカバーを開けたらすぐに指を置くだけのワンステップ認識を採用した。指紋認証の精度を向上し、使い勝手は高まったと言える。

◆GFR-02を普通自転車に切り替える“モビチェン”を来夏発売予定

前述したように、GFR-02は“ペダル付き原動機付自転車”だ。そのため、法規上は「原付第一種」となり、当然ながらそれに必要なライトやウインカー、メーターなど保安部品が装備されている。また乗車するには原付免許が必要で、ヘルメットの着用も義務付けられる。たとえ自転車モードで走行してもこれは変わらない。

そんな中でグラフィットは2021年夏頃までに、自転車と電動バイクの完全切り替え利用が可能となる新機構「モビチェン」を発売する予定だ。

これは内閣府のサンドボックス制度を活用して実現したもので、現状ではグラフィットのみが認められている措置。このモビチェンを装着し、ナンバーの上に自転車モードに切り替わっていることを示す“カバー”で覆うことで道交法上は普通自転車として認められるようになる。

ただ、切り替えは簡単にはできないよう、あえて停止中に電源を切り、2つのロックを外すという手間をかけることになっている。モビチェンはオプション扱いとなり、従来のGFR-01にも装着できるが、配線など引き回し等で取り付けに時間を要するという。

電動バイクということで気になるのがバッテリー管理だ。GFR-02では新たにパナソニックのBMU(Battery Management Unit)を搭載したバッテリーパックを採用した。これはクラウドを介してglafitアプリ上で正確なバッテリーの残量が管理可能となり、予期せぬ電欠を防止できるというものだ。遠隔モニタリングによる適切なバッテリーオペレーションも実現しており、ここではバッテリー内部の状態を細かく監視し、放電充電制御を行なうなど、シェアリングでの利用に適した機能も備えている。

◆試乗では明らかなパワーアップを体感。制動時のスムーズさも大幅アップした

発表を前に筆者はGFR-02のプロトタイプに試乗する機会を得た。そこで実感したのは走りやすさが大幅にアップしたことだ。走行モードは「ECO」「MID」「HIGH」の3モードから選べるが、「ECO」は自転車モード、「MID」「HIGH」ではバイクモード。「MID」は最高10km/h前後まで、「HIGH」では最高の30km/hまでとなる。

バイクモードでは「HIGH」を選択。スロットルを回すとスーッと発進し、最高速度の30km/hまであっという間に到達。強烈な加速感こそないが、パワーの出方に十分な力強さを感じた。今まではパワーがすぐに頭打ちとなり、少しの坂道でも速度が落ちていくのがわかったほど。そんな印象はGFR-02ではまったく感じられず快適に走ることができたのだ。

ブレーキのフィーリングもかなり向上していた。前後輪ともディスクブレーキを採用するが、軽いタッチでスムーズに制動する。今までもしっかり効いてはいたが、どちらかといえばカックンと効いてる感じだった。なので、ブレーキをかけるときは慎重にならざるを得なかった。GFR-02ではその感覚がなくなったため、安心してブレーキをかけられるのだ。

自転車モードでは漕いだらその分しっかりと前へ進む感じ。前モデルでは漕いでも回転だけが多くなって思うように進んでいかなかった。アシストが適度に効いて漕いだ感じとのバランスが良好だったのだ。バイクモードでもペダルを漕いで発進すると、その分だけバッテリーが節約でき、新感覚のバイカー気分が味わえるのが面白い。乗るほどに楽しさを感じられるそんな走行フィーリングだった。

モーターのトルクカーブが変更となり、スムーズな走りが可能となった《写真提供 glafit》 電動バイクモードと自転車モードの2ウェイで利用できる《写真提供 glafit》 ハイブリッドバイクの第二弾「GFR-02」。ハンドルやライト周りも一新された《写真撮影 会田肇》 クランクを大型化してギア比を高め、漕いだときの府見応えを向上させた《写真撮影 会田肇》 よりイージーに操作できるようになった「YubiLock」《写真撮影 会田肇》 ハンドルポストは右折れ式となり、折りたたみやすくなった。またポストは一体成形となっている《写真撮影 会田肇》 ウインカーの形状も新意匠となった《写真撮影 会田肇》 GFR-02を折りたたんだときは安定して自立できるようになった《写真撮影 会田肇》 折りたたんだとき、ハンドルポストは外側に収まるようになった《写真撮影 会田肇》 新意匠のミラーは折り畳み式。これはバイクモード利用時《写真提供 glafit》 自転車モードでのミラー。折りたたむときもこの状態にする《写真提供 glafit》 カラーはFLASH YELLOW、MATTE BEIGE、SHIRAHAMA WHITE、TIDE BLUEの4色《写真提供 glafit》 都内で開かれたGFR-02の発表会《写真撮影 会田肇》 GFR-02を紹介するグラフィットの代表取締役CEOの鳴海禎造氏《写真撮影 会田肇》 BMU(Battery Management Unit)を開発したパナソニック テクノロジー本部デジタル・AI技術センター主務 井本淳一氏《写真撮影 会田肇》 UMBCサービスではスマホ上に「%」単位で、正確にバッテリー残量を確認できる《写真提供 パナソニック》 従来の電池残量表示のイメージ(車両に搭載されたメータ)《写真提供 パナソニック》 GFR-02の概要《写真提供 glafit》