BMW M8 グランクーペ のMotoGPセーフティカー《photo by BMW》

BMWの高性能車部門のBMW Mは8月23日、オーストリア・レッドブルリンクで開催された二輪ロードレース世界選手権「MotoGP」のスティリアGP において、『M8グランクーペ』(BMW M8 Gran Coupe)のMotoGPセーフティカーを初公開した。

BMWは1999年から20年間以上、MotoGPのセーフティカーに採用されている。ここ数年では、2012年シーズンは『M6クーペ』、2013年シーズンは『M6グランクーペ』がセーフティカーを務めた。2014年からは2年連続で『M4クーペ』が担当。2016〜2017年は、『M2クーペ』がセーフティカーを務め、2018年からは『M5』、2019年からは『M8クーペ』がその任務を果たしている。

◆0〜100km/h加速3.2秒で最高速305km/h

M8グランクーペのパワートレインには、BMW Mが開発を手がけた直噴4.4リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載する。このV8は、シリンダーバンク上を横切るように配置された(クロスバンク)エグゾーストマニフォールドにより、排気ガス流のエネルギーが2つのターボチャージャーのタービンホイールに最適に伝えられる。冷却システムも、最適な効果を発揮するように設計されており、サーキット走行時の熱負荷に耐える。フラップ制御式のエグゾーストシステムのサウンドは、選択しているモードによって変化する。

最大出力は600hp/6000rpm、最大トルクは76.5kgm/1800〜5600rpmだ。0〜100km/h加速3.3秒、0〜200km/h加速11.2秒、最高速250km/h(リミッター作動)の性能を発揮する。オプションの「Mドライバーズパッケージ」ではリミッターが解除され、最高速は305km/hに到達する。

さらなる高性能を求める顧客には、「コンペティション」を設定する。直噴4.4リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力がプラス25hpの625hp/6000rpmへ向上。最大トルクは76.5kgmで変わらないが、1800〜5800rpmと、より幅広い領域で引き出される特性とした。0〜100km/h加速は3.2秒と、0.1秒短縮される。0〜200km/h加速は11秒だ。最高速は250km/h(リミッター作動)で、オプションのMドライバーズパッケージではリミッターが解除され、最高速は305km/hとなる。

◆4WDは通常走行では後輪駆動が基本

全車のトランスミッションは8速の「Mステップトロニック」で、ドライバーはMセレクターレバーまたはステアリングホイールのパドルシフトでマニュアル操作が行える。駆動方式は4WDの「M xDrive」となり、専用チューニングが施される。このシステムは、力強い加速性能を目指して開発された。後輪駆動を重視した設計となっており、後輪が動力伝達の限界に達し、追加のトラクションが必要になった場合に限って、フロントアクスルにパワーを振り分ける。

また、「アクティブMディファレンシャル」も採用する。トランスファーケースが必要に応じて、駆動トルクの一部を無段階かつ可変的にフロントアクスルへと振り分ける。一方、左右後輪間の駆動トルク配分は、アクティブMディファレンシャルが受け持つ。スポーツ走行時や、路面のグリップが変化する場面など、その状況に合わせてM xDriveに組み込まれたアクチュエーターがロック率を選択し、走行安定性を確保する。M xDriveの導入により、車両を安定させるためにDSC(ダイミック・スタビリティ・コントロール)の介入が必要となるのは、極端な状況だけに限定され、エンジンパワーを推進力としてほぼ無駄なく利用できるという。

新しいMモードを採用する。BMW Mモデル向けに専用開発されたコントロールシステムは、パワートレインやシャシーを、ドライバーの好みに設定することを可能にする。4WDのM xDriveシステムは、前輪と後輪の間のパワー配分を調整でき、ブレーキシステムもドライバー好みに設定できる。

センターコンソールにある新しいセットアップボタンを押すと、5つの車両パラメータに関するセットアップ項目に直接アクセスできる。そして、コントロールディスプレイにセットアップメニューが表示される。その後、ドライバーはタッチスクリーンまたはiDriveコントローラーを使って、エンジン、サスペンション、ステアリング、ブレーキ、M xDriveの各モードを、1ステップで設定できる。

◆サーキット走行向けトラックモード

また、センターコンソールのMモードボタンを操作して、デジタルメーターやヘッドアップディスプレイのドライバーアシスタンスシステムの設定を変更できる。スポーツモードでは、ドライバーはインストルメントクラスターとヘッドアップディスプレイの両方で、各種情報が確認できる。冷却システムの温度、ターボのブースト圧、タイヤの状態、前後方向と横方向の加速度に関する情報は、左右のディスプレイに表示される。

サーキット向けのトラックモードでは、アクティブブレーキやステアリングなど、運転支援システムの介入を最小限に抑えるか、無効にすることができる。Mモードボタンを長押しすると、レースモード専用のトラックモードが有効になる。このモードを有効にするかどうかは、iDriveコントローラーを使用して確認する必要がある。

◆セーフティカーにはカーボン製Mパフォーマンスパーツを装着

BMWは、MotoGPのスティリアGP において、M8グランクーペのMotoGPセーフティカーを初公開した。M8グランクーペのコンペティションをベースに、車体には反射防止コーティングとして、つや消しのブラックを施した。これにより、コックピット、ドライバーの集中力が高まるという。デジタル化をテーマに、BMW Mカラーの新しいグラフィックパターンも採用された。

M8グランクーペのMotoGPセーフティカーには、BMW の「Mパフォーマンスパーツ」が装備されている。エンジンカバーやドアミラーカバー、リアスポイラー、リアディフューザーはカーボン製だ。サイドのカーボングリルとステアリングホイールもMパフォーマンスパーツとなる。

カーボン製のフロントフラップとフロントリップスポイラーは、ハンドメイドだ。ルーフには、最新のLEDテクノロジーを導入したライトバーを装着した。室内には、レカロ製スポーツシートが採用されている。

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