ブリヂストンの石橋秀一CEO、右は東正浩COO《写真提供:ブリヂストン》

ブリヂストンが8月7日に発表した2020年1〜6月期連結業績は、売上高が1兆3554億円(前年同期比22.1%減)、営業利益が197億円(同86.7%減)、当期純損益が220億円の赤字(前年同期は987億円の黒字)だった。石橋秀一CEOはこのピンチをチャンスに変えようとしている。

「この5年間を見ると、われわれの経費、コストは上がってきている。今回のCOVID-19(新型コロナウイルス)の機会を捉えて、グローバルでコストを一気に落としていこうと考えている。そして、それをベースにもう一段落として、それをブリヂストンの新しい経費構造のベースとして、戦略的なお金を使っていこうと思う」と石橋CEOは話し、こう付け加える。

「事業再編とか、生産拠点の再編をすれば、当然コスト構造は変わっていく。そういうことを今考えている。抜本的に稼ぐ力を再構築していくというのが、今年の下期から22までの大きな課題だと考えている」

その俎上に真っ先に上がっているのが多角化事業だ。同事業はブリヂストンの中でも長い歴史があり、日本や米国を中心に事業を進めている。例えば、日本では防振ゴム、ベルト、ホース、樹脂配管などの化工品、米国では屋根材、空気バネ、そしてスポーツ・サイクル事業だ。

現在、6000億円弱の売り上げを誇りながら、営業利益はたったの2億円。「非常に厳しい状態になっている。こういう状況では事業の継続は危ういと思っている。当然、この中には利益が上がっているものと上がっていないものがある。それを資本コスト、主力性、さまざまな事業とのシナジー、ブランド貢献という観点から、現在細かい議論を始めている」と石橋CEOは説明する。

今年度にはすでに、ユニットバス、テニス事業を利益が望めないということで売却を決定した。一応の目安として、営業利益率10%がターゲットになるそうだが、ただ撤退するのでも、一度チャレンジして撤退する考えだ。

また、生産拠点の再編については、現在世界に50拠点あるが、そのいくつかを閉鎖する計画だ。石橋CEOは具体的な工場名は出さなかったが、生産規模の小さい拠点、古い工場、付加価値製品をつくれない拠点などが候補だそうだ。

9月にグローバルのエグゼクティブチームが集まって、事業の再編などを議論する予定で、「2023年には筋肉質の会社に変わっていくということで今詰めている」と石橋CEO。9月15日に東京・小平で旧ブリヂストンTODAYがリニューアルオープンする予定で、その時に事業の再編などについての発表がありそうだ。