複数の太陽電池セルにより構成された太陽電池パネル(左からルーフ、フード、バックドア)《写真提供 NEDO》

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とシャープは7月6日、世界最高水準の高効率な太陽電池セルを活用して電気自動車(EV)用太陽電池パネルを製作したと発表した。

NEDOの太陽光発電システム搭載自動車検討委員会は「変換効率30%以上の太陽電池パネルを使用すれば、自動車のような限られた設置面積でも1kWの発電電力を実現することが可能」、「ユーザーの利用パターン次第では、年間の充電回数をゼロにすることが可能」と試算した。

一方、シャープは革新的で高性能な太陽電池の開発を推進するNEDO事業で「III-V化合物3接合型太陽電池」技術によって世界最高水準となる変換効率31.17%の高効率太陽電池モジュールを開発した。

今回、シャープは、移動体への太陽電池搭載の可能性を検証するため、日産自動車の協力を得て「III-V化合物高効率太陽電池モジュール」と同等のセルを活用して、EV用太陽電池パネルを製作。セルは約0.03mmの薄いフィルム状で、車体の曲面形状に沿って効率よく搭載できることから、1kWを超える約1150Wの定格発電電力を実現するとしている。

パネルは、公道走行用実証車として日産のEV「e-NV200」に搭載し、大容量の太陽電池と蓄電池の組み合わせによる航続距離や充電回数を検証する。

NEDOは今後、実証EVの実証結果のほか、2019年7月からトヨタ自動車のシャープ製太陽電池パネルを搭載したプラグインハイブリッド車による公道走行実証のデータと併せて、国際的な調査活動に生かしていく。

さらに、NEDOは新規事業として、車載用III-V化合物太陽電池の実用化に向け、高効率化とコストダウンを推進し、太陽電池の新規市場創出とエネルギー・環境問題解決を目指す。

1kW超の太陽電池パネルを搭載した電気自動車「e-NV200」《写真提供 NEDO》