日産スマーナ工場《photo by Nissan》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

「日本経済は戦後最大の危機に直面している」。安倍首相が、新型コロナウイルスの感染が国内で急拡大していることを受け、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に「緊急事態宣言」を発令した。その深刻な状況は、きょうの各紙がほぼ全てのページに関連記事として詳しく報じているが、とりわけ、朝日は1面トップの「緊急事態宣言」のタイトルを、縦7cm、横30cmもの大きな活字で取り上げたのには驚かされる。

緊急事態宣言は、欧米などの各地で見られる厳格なロックダウン(都市封鎖)に比べると緩やかな措置だが、各自治体の知事は、住民への外出自粛や事業者への休業を要請する法的根拠が与えられる。

緊急事態宣言は5月6日までの1か月間としているが、宣言が解除されるには、人と人との接触機会を7割から8割削減する必要があるとみている。

こうした中、生産現場などの雇用調整の動きも広がっている。業績不振に苦しむ日産自動車は米国の従業員約1万人を一時解雇する。対象はほぼ全ての工場従業員で、米国では3月中旬から自動車工場が一斉に停止しているという。

また、ホンダも米国で1万人規模の従業員の一時帰休を始めたという。オハイオ州などに持つ5か所の従業員が対象で、4月末を予定。さらに、日経によると、三菱自動車では国内3工場の従業員を対象に一時帰休を実施し始めたとも伝えている。最大約6500人が対象で、一部の工場では給与の8割程度を手当てとするという。

新型コロナの感染拡大による経済活動の大幅な制限が、雇用などの実体経済に深刻な影響を与え始めた。このため、2008年のリーマン・ショック後、「年越し派遣村」で非正規労働者を支えた労働組合など約30団体が、緊急の連絡会議をオンラインで開催。「地方では雇い止めが進行、10年前(リーマン時)より深刻」な状況が予想される中で「連携を強める方針」(朝日)とも伝えている。

2020年4月8日付

●新型コロナ、緊急事態宣言発令、東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡、外出自粛要請、5月6日まで(読売・1面)

●経済対策108兆円決定、財政支出39兆円(読売・1面)

●日産・ホンダ米で雇用調整、工場停止長期化「一時帰休」へ(読売・8面)

●景気「悪化」7か月連続、2月「リーマン」前後以来(読売・9面)

●生活どう変わる、移動の足は、乗客減少なら減便も検討(朝日・2面)

●雇用影響「リーマンより深刻」労組など連携(朝日・6面)

●トヨタ、医療用防護マスク生産へ(朝日・6面)

●日鉄、2高炉を一時帰休、鹿島・和歌山自動車生産停止響く(東京・7面)

●三菱自、最大6500人一時帰休、国内3工場(日経・13面)

●自動運転、中国勢が猛追、米加州の公道試験ランキング(日経・14面)

●車ランプのスタンレー電気、光で殺菌 衛生銘柄の顔(日経・15面)

緊急事態宣言後、記者会見に臨む安倍首相(4月7日)《photo (c) Getty Images》 品川駅(4月8日)《photo (c) Getty Images》