フェラーリ・ローマ《撮影 工藤貴宏》

620psを発生するV8ターボエンジンをフロントに搭載する後輪駆動で、0-100km/h加速はわずか3.4秒。0-200km/h加速は9.3秒で最高速度は320km/h。4月1日に日本でお披露目されたフェラーリの最新モデル『ローマ』はスーパーカーにふさわしい高い動力性能を秘めている。

パワートレインで注目すべきはトランスミッションだ。新設計の8速デュアルクラッチを搭載。これは驚くことに、従来の7速よりもコンパクトで6kgも軽く、動力性能向上だけでなく燃費低減にも貢献する。
さらに低粘度オイルとドライサンプ式構造により流体力学的ロスを最小限に抑え「より素早くスムーズにシフトチェンジをすることが可能となっている」と説明する。そのうえで「市街地やストップ&ゴーを繰り返す状況下では特に快適になった」というのも、GTモデルにとって見逃せないポイントだろう。

エンジンは4年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザイヤー」を獲得しているV8ターボエンジンの派生タイプでカムのプロフィールが新しくなっているほか、ターボには過給圧で管理する従来に比べて正確に状況を把握できる回転センサーを搭載。その結果、1分間当たりのタービンの回転数は従来に対して最大で5000回転も増している。

また、「マネッティーノ」と呼ぶ走行モード切り替えシステムは「ウェット」「コンフォート」「スポーツ」「レース」「ESCオフ」と5つのポジションを搭載。フェラーリのグランドツアラー系モデルで5ポジションを搭載するのははじめてという。

しかしやはり、ローマの真骨頂はスタイリングだろう。伸びやかな流線形のボンネット、なだらかに傾斜するリヤウインドウやトランクリッド、そして鍛え上げた筋肉のように力強い造形のフェンダー。4つのシートを備えるクーペながらエレガントで、息をのむほどの美しさだ。

「イブニングドレスに身を包んだF1マシン」。実車を前にすると、そんなフェラーリの表現は、実に的を射ていることを実感する。ただし、リヤシートは頭上も足元が狭いうえに乗車姿勢も窮屈なので「狭いトランクを補うための上質な荷室スペース」と考えておくのが正解だろう。

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