ノスタルジック2デイズにビンテージ湘南が持ち込んだランドローバー。《撮影:中込健太郎》

ノスタルジック2デイズ(22〜23日、パシフィコ横浜)の会場にはとても貴重な『ランドローバー』(モデル名。現在の『ディフェンダー』)が展示された。

ノスタルジック2デイズの会場に、輸入車の旧車を中心に扱うヴィンテージ湘南が持ち込んだランドローバー“シリーズ2”、『88』が並んだ。ランドローバーは1948年に登場した車種で、このクルマは1960〜62年ごろに新車で日本に持ち込まれた大変貴重な個体だ。しかもプライスが掲げられた販売車両である。

ヴィンテージ湘南に話を伺うと、このクルマが日本国内で歩んできたヒストリーも大変興味深い。

「実は、長いこと公道を走行することを想定せず、特定の林野を巡回するため、登録されないまま使用されてきた個体なのです。一番最初のオーナーは東北電力。かの白洲次郎がアドバイスして輸入させて、時には自身もハンドルを握ってダム工事の候補地や現場を視察したというエピソードがあります。これはおそらくその時のクルマではないでしょうか。その後林野庁に移管。田沢湖周辺の巡回パトロールに使われていたクルマです」

白洲次郎が東北電力の会長だった当時、ランドローバーを入れたこと。その経験を踏まえて、日本の環境に合ったさらに小回りの利く4輪駆動を作るように富士重工(現スバル)に提案した話は有名。以降スバルは我が国屈指の4輪駆動メーカーとなった。そういう経緯の源のような1台、希少であるだけでなく、歴史的価値の高い1台ということができる。

「日本にランドローバーを持ち込んだというだけでも、時代を考えたら意義深いことです。さらに、このクルマは、よく知っていた人が分かったうえでオーダーしていることが良く表れている仕様です。例えば外板素材。量産型のランドローバーとは異なり、ジュラルミン製になっています。軽量で錆にも強い。フロントグリルの周囲など一部に錆も見られますが、そうした部分はオリジナルのスチール製です」

ヒストリーも紹介されるが、新車時から日本にいる大変希少な個体。《撮影:中込健太郎》 しかも、最初の所有者は東北電力、続いて林野庁と、公道ではなく「私有地巡回」を目的に長いこと使われてきた一台。《撮影:中込健太郎》 かなり最近になって登録されたユニークな生い立ちの一台だ。《撮影:中込健太郎》 外板はジェラルミン製。軽量で耐食性に富む。《撮影:中込健太郎》 白洲次郎もこのクルマで山林を駆け巡ったのだろうか。想像が膨らむ。旧車の魅力の本質でもある。《撮影:中込健太郎》 初期のランドローバーだが、単なる希少な旧車ということにとどまらない一台だ。《撮影:中込健太郎》 かつてはドイツ車などが中心だったビンテージ湘南のラインアップ。最近では英国車にも力を入れているという。《撮影:中込健太郎》