北京地下鉄(2月19日)《photo (c) Getty Images》

東京商工リサーチは、感染拡大が続く新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関するアンケート調査を実施。66.4%の企業が「すでに影響が出ている」、または「今後影響が出る可能性がある」と回答した。

調査は2月7〜16日にインターネットアンケートを実施。有効回答1万2348社を集計、分析した。

新型コロナウイルスによる企業活動への影響で最も多かったのが「現時点で影響は出ていないが、今後影響が出る可能性がある」の43.7%。次いで、「現時点ですでに影響が出ている」が22.7%で、約7割(66.4%)の企業が企業活動への影響をあげた。

企業規模別では、「現時点ですでに影響が出ている」は、大企業(資本金1億円以上)で31.5%だったのに対し、中小企業(同1億円未満)は20.6%。グローバルに展開し、中国と直接・間接に取引密度を高めている大企業ほど、新型コロナウイルスの影響がより早く出ている。

産業別で「すでに出ている」は、卸売業や運輸業、製造業でそれぞれ3割近くを占めた。「今後出る可能性」は、製造業が最も多く51.7%、次いで卸売業の47.3%。宿泊業や旅行業が含まれるサービス業他は38.3%だった。一方、建設業では62.3%、農・林・漁・鉱業では53.0%が「影響なし」と回答。内需を中心に展開する企業は、新型コロナウイルス拡大の影響は緩やかなようだ。

「すでに影響が出ている」と回答した企業に具体的な内容を聞いたところ、最多は「現地への出張の中止、延期」の1081社(構成比39.3%)。次いで、「現地サプライヤーからの仕入が困難となった」の987社(同35.9%)、「売上が減少」の899社(同32.7%)、「営業日数が減少」の565社(同20.5%)と続く。「現地取引先の事業停止や倒産の発生」は135社(同4.9%)だった。

「今後影響が出る可能性がある」と回答した企業に具体的な内容を尋ねたところ、最多は「売上の減少」の2176社(構成比42.3%)。次いで「現地サプライヤーからの仕入困難化」の1550社(同30.1%)と続く。「現地取引先の事業停止や倒産の発生」を懸念する企業は342社(同6.6%)だった。

新型コロナウイルスへの対応状況については、「対応を取る可能性がある、対応を取っている」は23.9%。「対応を取っていない」は76.1%だった。企業規模別では、大企業では39.5%が「対応を取る可能性がある、対応を取っている」と回答したのに対し、中小企業では20.2%にとどまった。

「対応を取っている」企業に具体的な内容を尋ねたところ、最多は「中国以外に所在する企業からの調達強化」で974社(構成比36.9%)だった。また、「中国への新規進出計画の凍結・見直し」が200社(同7.5%)、「中国拠点の撤退・縮小」は104社(同3.9%)。国内企業の多くがサプライチェーンや拠点のあり方を再考しているようだ。

今後の懸念について最も多かったのは、「中国の消費減速、景気低迷」の5834社(構成比51.3%)。次いで「サプライチェーンへの影響」の4154社(同36.5%)、「入出国手続きの煩雑化」の2140社(同18.8%)と続いた。

感染拡大は終息の気配が見えず、日本国内では経路不明の感染まで広がっている。このため、国内企業は業態を問わず直接間接に影響を受けることが避けられない状況になりつつある。

新型コロナウイルスは企業活動に影響を与えているか《画像:東京商工リサーチ》 新型コロナウイルスによる事業活動への影響《画像:東京商工リサーチ》 新型コロナウイルスへの対応《画像:東京商工リサーチ》 新型コロナウイルスによる今後の懸念《画像:東京商工リサーチ》