ダイハツ ロッキー(写真は17インチ装着車)《撮影 山内潤也》

◆軽い踏み込みでピュンっと勢いよく走り出す


新型ダイハツ『ロッキー』は、16インチ径タイヤを装着した「Xグレード、2WD」に試乗した。

発進の際、軽くアクセルペダルを踏みこんだだけで、ビュンっと勢いよく走り出したのには驚かされた。ダイハツが、軽自動車の新型『タント』で初採用したギア付きCVTによって、変速幅が広げられた効果が表れたのではないだろうか。以後、よりそっとアクセルペダルを踏みはじめることを意識することで、穏やかに発進することができた。


走りだした後も、排気量996ccガソリンターボエンジンであるにもかかわらず、970kg(2WDのXグレード)ある車両重量のクルマをよく加速させ、また、サスペンションもしっかりとした手ごたえを伝えて、運転を楽しむことができた。

ただ、路面変化のある道路では、タイヤの上下動の振動が余韻を残すときがあり、そこは、トヨタ『ライズ』で試乗した17インチ径の扁平タイヤを装着したほうが収まりはよかった。

◆5ナンバー車の良さを味わえる


5ナンバー車であるため、横幅の車両感覚も掴みやすく、安心して運転できる。また、5ナンバー車の良さは、クルマから降りる際に座席から足が容易に地面に届き、楽に降りられることだ。3ナンバーのSUVの多くは、車体が大きいことによって地面に足が届きにくく、不便を感じることが多い。さらには、最小回転半径がXは5.0mを切る4.9mであるため、方向転換も素早くでき、5ナンバー車の取り回しの良さを味わった。


後席は、空間的にゆとりある広さを備えているが、座面が短く、腰を落ち着けられない。足元にゆとりがあるので、もう少し座面が長くてもいいのではないかと思った。

5ナンバー車としては十分な容量と思える荷室があり、さらに、その床下にはかなりの容量の小物入れもあって、SUVとしての使い勝手がかなりよさそうに見える。

◆難点はハンドルにテレスコピック機構がないこと


残念なのは、ハンドル調節用のテレスコピック機構がつかないことだ。原価低減のためだという。しかし、現実的に身長166cmの私でさえ、ペダルに近すぎて足首を大きく曲げないと操作しにくく、運転をはじめて間もなく足首がつらくなり、走るのをやめたくなった。

ペダル踏み損ないや、踏み間違いの遠因となるだけでなく、せっかく好印象の5ナンバーSUVであっても、これではその魅力を味わいつくせないのではないか。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★

御堀直嗣|フリーランス・ライター
玉川大学工学部卒業。1988〜89年FL500参戦。90〜91年FJ1600参戦(優勝1回)。94年からフリーランスライターとなる。著書は、『知らなきゃヤバイ!電気自動車は市場をつくれるか』『ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本』『電気自動車は日本を救う』『クルマはなぜ走るのか』『電気自動車が加速する!』『クルマ創りの挑戦者たち』『メルセデスの魂』『未来カー・新型プリウス』『高性能タイヤ理論』『図解エコフレンドリーカー』『燃料電池のすべてが面白いほどわかる本』『ホンダトップトークス』『快走・電気自動車レーシング』『タイヤの科学』『ホンダF1エンジン・究極を目指して』『ポルシェへの頂上作戦・高性能タイヤ開発ストーリー』など20冊。

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