Thak you! Mark X。トヨタ自動車、マークX最終生産車をラインオフ。元町工場でセレモニー開催。《撮影 中込健太郎》

トヨタ自動車は、すでに2019年末で『マークX』の生産を終了すると発表していたが、最後の1台がラインオフし、12月23日には完成検査に合格。これに合わせて、元町工場で関係者が集いセレモニーが開かれた。

1968年、自動車ユーザーの急増に合わせて、『コロナ』よりも上質で、『クラウン』よりもカジュアルなモデルとして『コロナマークII』がデビュー。以来マークIIは、充実の装備と、上級車種並みのメカニズムで幅広く支持を集めてきた。2004年からは新開発のV型6気筒エンジンと共に「マークX」に進化。2代目マークXである現行型もすでに10年目を迎える。

マークIIとしては約651万8000台、マークXとして約36万3500台、合計約688万1500台が生産され、トヨタの屋台骨を支えてきたモデルだ。うち、約半数の349万5000台を生産してきたのが元町工場。このほど、元町工場で最後の1台がラインオフし、今回記念セレモニーが執り行われた。

式典には、元町工場の二之夕裕美(にのゆひろよし)工場長、2代目マークXのチーフエンジニアだった友原孝之(ともはたらたかゆき)氏はじめ、マークX関係者や、製造に携わってきた元町工場従業員など約200名が集い、様々な思い出が披露された。

挨拶に立った二之夕工場長は、「学生時代にお金をためて初めて買ったクルマがコロナマークIIのクーペでした。スタイリングは今見ても美しいと思う。一目ぼれして購入しました」と思い出を披露。つづいて各部の代表者もモデルに寄せるエピソードが紹介される。自分でもマークIIを購入したという話、連日の残業で生産に当たっていた時期があったこと、仕事を覚え、また部下に仕事を教える「苦労」もさせてくれたのが思い出深いという話など、公私にわたって、人間の成長を見守ってくれた一台だ、という話が続く。

会場には完成検査を合格したばかりの最後の1台の他、GRMN仕様や、初代、3代目、5代目、6代目のマークIIが展示。「これ乗っていた」とか「当時憧れた」などという話も、クルマを囲んでの思い出話もあちこちで聞かれた。

二之夕工場長は報道陣にたいし、マークXの需要がないわけではない、という。「例えば走りに特化したGRMNなども出すとたちまち完売します。GRMNが特別なわけではなく、ベースモデルの素性があのクルマを作りだしているのです。そういった潜在的な需要も合わせると、月7000台ほどの需要はあるのではないでしょうか。しかし、それだけではビジネスとしては難しいものがあり、時代のうつろいと共に様々な車種が登場し、ラインナップの最適化を図っていく。今回の生産終了はその中での判断ということですね」。

モータリゼーションという「時代の変化」の中でコロナマークIIが誕生し、やがてマークXへと進化。常に時代の変化と共に歴史を刻んできたモデルは、若手スタッフの夢や期待にもつながっているようだ。「私たちの元町工場は電動化の時代のクルマを製造できる強みがあります。一旦幕は閉じますが、マークIIがマークXとなったように、EV時代の中心的モデル、あるいはアッパーミドルクラスとして、みんなから愛されるクルマとして再び帰ってきて、例えば『マークE』を作れる日をがくればいいなと思います!」。

元町工場のセレモニー会場までは値料電池バスで移動。車内のデジタルサイネージもセレモニー仕様に。《撮影 中込健太郎》 1968年にコロナマークIIとしてデビューして以来その歴史は51年にも及ぶ。《撮影 中込健太郎》 セレモニー会場にはまさに最後の1台としてラインオフして完成検査に合格したばかりの1台が届けられていた。《撮影 中込健太郎》 今まさに完成検査を受け、これからただちにお客様に届けられる一台。ラインを出てきたそのまま姿で登場だ。《撮影 中込健太郎》 今回のセレモニーはあくまでも社内セレモニー。陸送の際に使用するフックも装着されていた。長い歴史と、トヨタの看板車種の一時代の幕引きを惜しみつつも、あくまでカスタマーファーストのスタンスも感じられる。《撮影 中込健太郎》 オーダーしたお客様の決まっているクルマ。撮影時間が終わると、傷がつかないようパーテーションで仕切られ傷がつかないように配慮がなされた。《撮影 中込健太郎》 元町工場を出た3,495,248台目のマークXが、マークII・マークXシリーズの最後の1台となった。《撮影 中込健太郎》 会場にはポスターも貼られ、生産終了を惜しむ。《撮影 中込健太郎》 会場は、普段GRスープラの国内向け最終調整を行うスペースで行われた。《撮影 中込健太郎》 「Thank you! MarkX BOOK」なる冊子が配布され、マーク2・マークXの歴史を振り返る内容に見入る人も。《撮影 中込健太郎》 元町応援団からも、最後の1台の門出と、携わったすべての社員に向けてアツいエールが送られた。《撮影 中込健太郎》 Thak you! Mark Xが12月23日の日付とともに刻印された記念のお菓子もふるまわれた。《撮影 中込健太郎》 記念撮影は「Thank you! Mark X!」の掛け声とともにXのポーズで。《撮影 中込健太郎》 マークX“GRMN”(2019年)《写真 トヨタ自動車》 初代:コロナマークII(1968年)《写真 トヨタ自動車》 2代目:コロナマークII(1972年)《写真 トヨタ自動車》 3代目:コロナマークII(1976年)《写真 トヨタ自動車》 3代目(奥)はセミクラシックデザイン。当時はクーペもラインナップ。5代目(手前)では3ナンバー車に匹敵する存在感が好評。好景気も後押しし、人気を博した。《撮影 中込健太郎》 4代目:マークII(1980年)《写真 トヨタ自動車》 5代目:マークII(1984年)《写真 トヨタ自動車》 6代目はバブル全盛時代に販売されたモデル。1990年には年間の販売台数でカローラを抜いた。《撮影 中込健太郎》 6代目:マークII(1988年)《写真 トヨタ自動車》 7代目:マークII(1992年)《写真 トヨタ自動車》 8代目:マークII(1996年)《写真 トヨタ自動車》 9代目:マークII(2000年)《写真 トヨタ自動車》 マークX(2004年)《写真 編集部》 10代目:マークX(2004年)《写真 トヨタ自動車》 11代目/現行:マークX(2009年)《写真 トヨタ自動車》 マークX(2011年)《写真 トヨタ自動車》 マークX(2016年)《写真 トヨタ自動車》 マークX(2016年)《写真 トヨタ自動車》 ある時代はスタイリッシュに、現代では、卓越したGRMNを産んだ。ベース車の懐の深さもこのクルマの価値として忘れることはできない。《撮影 中込健太郎》 世代を超えて、クルマを囲んで会話が生まれる。車種の歴史は単なる生産期間だけではない価値がある。《撮影 中込健太郎》 歴代のマークIIも会場に登場。どの世代も、作り手として、ユーザーとして思い出が尽きない。プライベートでもマークIIに乗っていたという社員も多数。「公私ともに成長させてくれたクルマ」懐かしむ人も。《撮影 中込健太郎》