インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》

日産自動車の海外向け高級車ブランド、インフィニティ(Infiniti)は11月4日、将来の市販車に搭載される予定の新開発の電動パワートレインを発表した。

インフィニティは2021年以降に発売する新型車に、この電動パワートレインを搭載する計画だ。2021年に発売される新型車は、インフィニティブランド初のEVになる。インフィニティは低排出ガス技術の導入を重点的に進めることで、2025年までにグローバル販売台数の半数以上を電動車両にすることを目指している。

◆100%EVとe-POWERの2種類を用意

インフィニティは日産ブランドと同じく、100%EV(日産『リーフ』や『NV200バネット』)と、発電専用エンジンを搭載する電動パワートレイン車の「e-POWER」(日産『ノート』や『セレナ』)の両タイプを用意する予定だ。日産のプレミアムブランドのインフィニティにも、低排出ガス技術を全面的に導入していく。

インフィニティのe-POWER(インフィニティは「ガス・ジェネレーテッドEVシステム」と呼ぶ)は、小型ガソリンエンジンを使用して高出力バッテリーを充電する技術だ。外部充電が不要なため、ガソリン車のような利便性と100%モーター駆動の走行を可能にしている。

インフィニティは将来の市販車を、1つのプラットフォーム、2つのパワートレインを基本に開発する計画だ。この開発の方向性により、100%EVとe-POWERの両方のパワートレインに対応する新型車を開発していく。

◆インフィニティのe-POWERは1.5リットルのVCターボに

インフィニティのe-POWERは、日産ノートとセレナとは異なるバージョンとなる。日産ノートとセレナの発電専用エンジンは、排気量1.2リットルの直列3気筒ガソリンエンジンだ。

これに対して、インフィニティのe-POWERの発電専用エンジンは、「MR15DDT」と呼ばれ、1.5リットル直列3気筒ガソリンエンジンを「VCターボ」で過給している。インフィニティによると、このエンジンには、騒音と振動を抑える世界初のテクノロジーを導入しているという。

日産が開発したVCターボエンジンは、量産エンジンとしては世界初の可変圧縮比エンジンだ。可変圧縮比技術は、ピストンの上死点位置をシームレスに変化させるマルチリンクシステムを活用しており、最適な圧縮比に素早く変化する特長を備えている。

圧縮比は8:1(高性能)から、14:1(高効率)の間で自在に変えることができる。運転状況に応じてエンジンの制御ロジックは、自動的に最適な圧縮比を選択する。またこの技術は、燃料消費量と排出ガスの大幅な削減、騒音や振動レベルの低減など、多くのメリットがあり、既存のエンジンに比べ軽量かつコンパクト設計としている。

インフィニティはすでに、新世代の2.0リットル直列4気筒ガソリンターボに、このVCターボ技術を導入した。インフィニティによると、V6ガソリンエンジンと並ぶ動力性能を発揮しながら、4気筒エンジンと同等の低燃費を実現しているという。

◆最速仕様は0〜100km/h加速4.5秒

また、インフィニティの将来の電動車向けプラットフォームでは、フロントアクスルに1個、リアアクスルに1個の高出力モーターを搭載できるように設計されている。「e-AWD(電気式四輪駆動)」システムによって、4輪を駆動する。

強力なモーターは、搭載されるモデルによって、最大出力248hpから429hpを引き出す。電動パワートレインの高出力バージョンでは、0〜100km/h加速はおよそ4.5秒で駆け抜けるという。

EVの場合、前後アクスルの間の車両床下に、大容量のバッテリーパックを搭載する。e-POWERの場合、コンパクトなバッテリーパック、燃料タンク、排気システムを搭載している。

インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》 インフィニティ Qs インスピレーション(参考画像)《photo by Infiniti》