ジェイテクトの自立推進歩行器「J-Walkerテクテック」《撮影 山田清志》

東京ビッグサイトで開幕した「国際福祉機器展2019」には歩行器もさまざまなメーカーから出品されていた。その中でトレーニング機能付のものを展示したのが、自動車部品メーカーのジェイテクトだ。

その名は「J-Walkerテクテック」で、自立推進歩行器(電動アシスト付き)である。「J」とは、言うまでもなくジェイテクトの頭文字で、これまで培ってきた自動車部品の安全技術を駆使して、約1年半かけて開発した。

その特長はハンドル部分にある取っ手が前後にスライドすることで、腕振り歩行が可能になるということ。そのことで姿勢のよい歩行ができ、自然と歩幅も広がり、筋肉の活動量を増加させ、効率よく筋肉や体力をアップできるというわけだ。

一般的な歩行器はハンドルを持って押していくが、これだとだんだんと猫背になり、歩幅も狭まってしまう。身体の関節や筋肉が華麗とともに衰えて運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」をなかなか改善できないのだ。

そのリスクを打開するものがジェイテクトの歩行器と言っていいだろう。東京大学の中澤公孝教授が行ったノルディックウォークの研究成果をもとに開発を進めたそうだ。

「もちろん、普通の歩行器についている上り坂アシストや下り坂ブレーキ、片流れ防止、転倒予防ブレーキといったものはすべて備わっています。それに専用アプリをダウンロードすれば、歩行距離や歩行速度、心拍数などのデータを見ることもできます」と同社関係者は説明する。

利用者のトレーニング意欲の向上を狙い、目標を楽しく達成できるゲーム、家族の応援の声を録音できる機能、BGMが聴ける機能などもあるという。また、施設向けのアプリでは、利用者の歩行能力改善をデータで自動管理でき、おまけに報告書も自動作成できるのだ。

発売は2020年4月の予定で、価格は30万円を想定している。ただ、今回の展示会で来場者から「高すぎる」といった声も聞こえたので、「VA活動を行って、コストダウンを図っていく必要がありそうだ」と同社関係者は話していた。

専用アプリの画面《撮影 山田清志》