9月12日からの一般公開に先立ち、10〜11日の報道関係者向け「プレスデイ」で開幕したIAA2019(フランクフルトモーターショー2019)。サプライヤーも、地元ドイツ勢は初日に記者会見を行う企業が多数を占めた。ボッシュ、ZFに次ぎドイツ三大勢力の一角を担うコンチネンタルのブースでも、CEOのエルマー・デーゲンハート博士がスピーチを行った。
印象的だったのは、成長の鈍化や税金・コスト負担など自動車産業を取り巻く困難な環境に関する話題に時間のほぼ半分を費やしたことだ。その上で、技術開発への投資が充分に行われ、ドイツ自動車産業の競争力を維持するために政府や公共機関が協力することの重要性について力説していた。日本では、トヨタ系サプライヤーが「100年に一度の変革期」と、ある程度好機としてとらえている印象があるが、コンチネンタルの記者会見ではかなりの危機感を感じた。
そんなドイツ自動車業界にあって同社は、「Mobility is Heartbeat of Life (=モビリティは命の鼓動)」を今回のモーターショーのスローガンに掲げ、環境に優しく、経済的で社会的価値のあるモビリティの形成を目指すという。企業戦略の柱としては、2020年末までに世界の工場で使用する全ての電力を再生可能エネルギーによって発電したものでまかなう計画であることを発表した。
一方、製品・技術の目玉となるのは、間もなく量産が開始される統合型電動ドライブ。インバーターと出力120kWのモーターを一つのハウジングに収めたユニットは、重量が約80kgに抑えられており、コンパクトでコストをおさえた実用的なゼロエミッション車両を可能にする。また、48Vのハイブリッド用システムは、30kWの出力でおよそ20%の燃費低減を実現するそうだ。
コンチネンタルは、「経済的に達成可能で、環境に優しい(environmentally friendly, economically achievable)」モビリティの提供を通して、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上に貢献する製品開発を続けていくとのことである。モーターショーの記者会見において、ロビーイングとも思えるメッセージに時間を費やし、電力調達に関する企業戦略に言及するなど、ユニークだったコンチネンタル。そこには、同社が抱く危機感の大きさと、将来に向けた並々ならぬ決意が感じられた。
コンチネンタルの抱く危機感と強い決意…フランクフルトモーターショー2019
2019年09月11日(水) 11時30分
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