日産スカイライン新型《写真提供 日産自動車》

16日、日本国内でも発表された日産『スカイライン』改良新型は、プロパイロット2.0を搭載した3.5リットルV6ハイブリッドエンジン(VQ35HR)と3.0リットルV6ツインターボエンジン(VR30DDTT)を搭載した2モデルがベースとなる。

それぞれにGT/SP、GT/P、GTタイプが用意され、VR30DDTTモデルにはさらに400馬力(400R)のタイプが設定される。駆動タイプはハイブリッド、ツインターボともにFRだが、ハイブリッドには4WDも設定される。

これに伴い、一部のタイプに採用されていたダイムラー製の4気筒エンジンは廃止される。このエンジンは中国や一部の国のモデルに残るが、新しいスカイラインのエンジンはV6が基本となる。さらにブランドも「スカイライン」に統一するため、インフィニティロゴやエンブレムもなくなるという。

日産のV6エンジンも北米を中心にすでに定評がある。VQ35HRは、『フーガ』などにも搭載されている。ハイブリッドシステムは、1モーター2クラッチをトランスミッション内に同軸上に配置したもの。構造がシンプルでコンパクトにできるため、さまざまなエンジンとの組み合わせとレイアウトが可能だ。

VQ35HRでも十分パワフルだが、スカイラインとしてのホットモデルには、VR30DDTTが搭載される。このエンジンは、北米で2年連続でアワード(US 20 Best Engine)を受賞している。タービンとコンプレッサを小型化し、レスポンスを向上させたツインターボシステム。水冷式インタークーラーの採用、電動VVT(可変動弁)システムによる燃費・環境性能と動力性能の両立、ミラーボアコーティングシリンダーによる低フリクション・高出力といった特徴を持ち、最大出力は400馬力(475Nm)を誇る。

足回りではIDS(インテリジェント・ダイナミック・サスペンション)というセミアクティブダンパーが搭載される。IDSは、ソレノイドのアクチュエーターによってダンパーの減衰力を電子制御するシステム。走行中の突き上げを吸収し車両を水平に保ったり、コーナリングのロールを4輪独立で制御したりできる。乗り心地の向上も期待できるが、主に運動性能を上げるための機構といえる。そのため、IDSはハイブリッドモデルには搭載されない。

先代のスカイラインが、北米仕様を意識したインフィニティブランド色を持っていた。しかし、結果として、国内ではあまりうまく機能していたとはいえない。日産としては、国内スカイラインのテコ入れが今回の新型ということになる。コンセプトは2つあるようだ。ひとつは、技術の日産を象徴する最新テクノロジーの投入。もうひとつはスカイラインとしてのブランドの再構築だ。

前者はプロパイロット2.0と最新コネクテッド機能(ハンドオフ走行やOTAによる地図更新など)。後者がVR30DDTTを搭載した400馬力モデルの設定。VR30DDTTは、エンジン自体は新しいものではないが、北米では最新テクノロジーと動力性能に定評がある。チューニングによってはVR38DETT(GT-R)にも匹敵するポテンシャルを持っているともいわれる。

このエンジンを国内に投入し、新しいスポーツクーペとしてのスカイラインを確立させようとしている。

新しいスカイラインは、往年のファンだけでなく新しい層にどのように響くか楽しみではあるが、個人的にはどうせなら400馬力モデルにもプロパイロット2.0やインテリジェントコネクトなどハイブリッドモデルに搭載した機能を搭載してほしかった。

日産によれば、3D高精細地図のOTA更新・取得には冗長系のサブシステムを稼働させる必要がある、ステアリングや電動ブレーキも専用にする必要があるなどで、両立はすぐにはできなかったようだ。とくにハンドオフ運転のための高精細地図を使ったミリ単位のステアリング制御は、今回のスカイラインに搭載されたDAS(ダイレクト・アダプティブ・ステアリング)の機能がないと難しいそうだ。

以前、スカイラインといえば「ハコ」でありセダンの代名詞でもあった。当時のセダンは、家族全員が乗って遠出もできる実用的な車種だったが、現在この役目はミニバンやSUVが担っている。セダンが売れない現在、トヨタ『クラウン』がセダンというより「クラウン」というカテゴリを成立させているように、新型スカイラインは、スカイラインという最新技術をふんだんに投入したプレミアムセダンとしてのポジションを狙っている。

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