ユニバンスとGLMが協業《画像:ユニバンス》

GLMはユニバンスと協業し、同社のEV・ハイブリッド車向けトランスミッションを前後に搭載した4輪駆動のEV試験車両を開発。7月17〜19日にポートメッセなごや(名古屋市)で開催される自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」で初披露する。

GLMは、自動車メーカーのEV量産・研究開発支援や部品・素材・化学・ITメーカー等の自動車関連事業の技術・開発支援を展開する「プラットフォーム事業」に注力しており、今回のEV試験車両開発もその一環。ユニバンスとの協業は今回が初めてとなる。

一般的なEVは、変速機構を持たず、低速域から高速域まで、出力の大きな1つのモーターで、回転をすべての領域に対応させながら走行している。しかし、モーターにはそれぞれ効率のいい駆動領域が存在し、1つのモーターですべてを補おうとすると、消費電力・パワーともにロスが大きくなるケースが出てくる。

試験車両に搭載したトランスミッション「Dual motor Multi driving mode e-Axle」は、ユニバンスが独自に開発したもので、2基のモーターおよびインバーターと、2段階変速ギヤを組み合わせたユニット。車両前後に同一のユニットをそれぞれ配置することで、4輪駆動を実現する。

2基のモーターとインバーターは、低速ギヤ段、高速ギヤ段に、それぞれ量産予定の低出力モーター(48V)を使用しており、2基を組み合わせることで、相互の苦手領域を補い、効率の良い、低電費走行を実現。また、より高電圧、大出力なモーターを取り付けることもでき、軽自動車から大型トラックまで様々なパワートレインに対応できる汎用性も兼ね備えている。ユニバンスは、8月から同車両を用いた走行試験を開始し、国内外の自動車メーカーや部品メーカーへの量産採用を目指し、2025年までの量産を目指す。

このEV試験車両のベースとなったのは、車両後部にモーター、バッテリーなどの主要ユニットを配置する後輪駆動(MR)のGLM第1世代プラットフォームだ。今回、新機構を搭載するため、前後に同ユニットをレイアウトした4輪駆動としたほか、サスペンションをダブルウィッシュボーン形式からプッシュロッド形式に変更し、前部のドライブシャフトなど、新たに必要になる部品の搭載スペースを確保。また、4つのモーターへの大電流を制御するための「ジャンクションボックス」や、ハーネス(配線)システム、ユニバンスが開発した専用システムとの通信機能、といった電装系を新規に開発。合計4機のモーターが安全に、独立して制御できるようにするなど、これまでスポーツEV開発で培った高度な電装技術が生かされている。

GLMは、今後もユニバンスのような先進的な取り組みを行う企業に対して、完成車開発で培った知見・ノウハウを提供し、各企業の自動車関連事業参入・拡大をサポート。ショーカーだけでなく、量産化を見据えた研究開発分野での案件を、これまで以上に増やしていく方針だ。

車両フロントへ搭載のeアクスル《画像:ユニバンス》 試験車両はGLMの第1世代プラットフォームがベース《画像:ユニバンス》 展示する試験車両《画像:ユニバンス》 ユニバンス開発のeアクスル《画像:ユニバンス》 走行・Lowモード《画像:ユニバンス》 走行・Highモード《画像:ユニバンス》 走行・トルク合体モード《画像:ユニバンス》 走行・直結モード《画像:ユニバンス》 回生モード《画像:ユニバンス》 回生モード・より多いエネルギー回収《画像:ユニバンス》