優勝を飾ったヒュンダイの#11 ヌービル。《写真提供 Red Bull》

世界ラリー選手権(WRC)第5戦アルゼンチンが現地28日に競技日程を終了、ヒュンダイのティエリー・ヌービルが優勝を飾った。2位にアンドレアス・ミケルセンが続き、ヒュンダイは全陣営を通じて今季初の1-2フィニッシュ。トヨタ勢ではクリス・ミークの4位が最高だった。

WRCは4月下旬〜5月前半にかけて南米2連戦だ。今回のアルゼンチン戦と、WRC初昇格になる次戦チリがカレンダー上で中1週という実質2連戦のスケジュールで開催される。まずはコルドバ近郊のグラベル(未舗装路)を舞台とする第5戦アルゼンチン。開幕からの4戦では、ヒュンダイ、トヨタ、シトロエン、フォード(Mスポーツ)いずれの陣営も表彰台圏内に2台以上を同時に送り込めなかった混戦の流れが、ここで新たな局面を迎えることとなった。

#11 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペ WRC)が前戦に続く2連勝。そして2位にもi20クーペWRCの#89 アンドレアス・ミケルセンが入り、ヒュンダイがシーズン最初のダブル表彰台を達成、それも1-2フィニッシュを飾ったのである。これでマニュファクチャラー部門のシリーズポイント争いは、首位ヒュンダイ(157点、2勝)が2番手トヨタ(120点、1勝)、3番手シトロエン(117点、2勝)に対し、現段階でアタマ半分〜ひとつ近く、抜け出したといえよう(フォードは78点、0勝)。

勝った#11 ヌービルもドライバー部門のシリーズポイント首位で、2番手の#1 セバスチャン・オジェ(シトロエンC3 WRC=今回3位)に10点差とした。こちらのリードはまだ半歩ほどもないが、ヌービルは今回の勝利を「素晴らしい気分だし、我々が成したことを誇りに思う。週末を通じてマシンはファンタスティックで、快適だったよ」と振り返り、「チーム全体がハードワークして、我々は進歩を遂げられた。チャンピオンシップにおいても良い結果が得られた。もちろん次のイベントもタフになるとは思うけどね」と語っている。

昨年、ともに初タイトル奪取が叶わなかったヒュンダイとヌービル。まだ9戦も残している段階ではあるが、悲願成就に向けてまずは流れをつかんだといえそうだ。

トヨタ・ヤリスWRC勢では#5 クリス・ミークの4位が今回の最高位。#1 オジェとの表彰台争いは、最終ステージで#5 ミークにタイヤの空気圧低下があり、惜しくも相手に逆転を許すかたちだった。#10 ヤリ-マティ・ラトバラが5位、#8 オット・タナクは8位。

エースの#8 タナクは土曜日(11日)に首位争いを展開していながら、電圧低下のトラブルでこの日デイリタイアを喫することになり、日曜日(最終日)に再出走して8位だった。#8 タナクはラリーの途中で「今やどんなラリーでも(我々は)勝てるレベルにあると思うが、やらなければならないことも残っている」とコメントしていたが、まさしくそういった状況の一戦であった。

速さはありながらも、結果ベースでは2戦連続表彰台なしとなった「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」。トミ・マキネン代表は、「次戦チリに向けて万全の準備を行ない、表彰台に返り咲きたいと思います」と語る。#8 タナクも「これからもベストを尽くして戦う。次のチリでは反撃に転じたい」と即時挽回を誓う(タナクはドライバーズポイントでは首位と28点差のランク3番手)。

マニュファクチャラー部門タイトルの連覇と、タナクの初王座獲得に向けてトヨタの逆襲が注目される次戦第6戦チリは、5月12日を最終日とする日程で開催される。

勝利を喜ぶぬヌービル(右)と、彼のコ・ドライバーであるN.ジルソー(ひとり挟んで左)。《写真提供 Red Bull》 WRC第5戦アルゼンチンの表彰式。《写真提供 Red Bull》 2位の#89 ミケルセン。《写真提供 Red Bull》 3位の#1 オジェ。《写真提供 Red Bull》 4位の#5 ミーク。《写真提供 Red Bull》 5位の#10 ラトバラ。《写真提供 Red Bull》 次戦はチリ、南米での戦いが続く。《写真提供 Red Bull》