KTMのフラッグシップ・ネイキッドスポーツである『スーパーデュークR』をベースに、ハーフカウルを備え、エンジン特性や足回りをリセッティングしてグランドツアラー的キャラクターを与えられたのがこの『スーパーデュークGT』だ。
この日の試乗会でいちばん最初に乗ったバイクだったのだけれど、じつは走り出してすぐ「これが今日イチだな」と確信してしまった。それほど素晴らしいバイクだったのだ。
まず、エンジンがいい。1290のビッグVツインだが、荒っぽいところがなく、下から上までキレイに回る。パワーとトルクも回転に比例して、好きなときに好きなだけの力を出し入れできる。まさにライダーの“意のまま”だ。
KTMのエンジンは、いちばん小さい125からフラッグシップの1290まで、総じて出来がいい。その「よさ」とは、味わいとか鼓動感が……といった類のものではなく、機械としての「正しさ」を追求した結果、得られた信頼性であり心地のよさだ。
より軽く、よりパワフルに、より扱いやすく。“READY TO RACE”をかけ声に、常にレースでの勝利を目指してきたKTMならではの、妥協のない機能と性能の追求がこのスーパーデュークGTにも注がれていると感じた。
見た目には大きいのだけど、走り出すとその軽さのおかげで、サイズによる心理的負担は感じない。まるで400ccのスポーツバイクに乗っているかのように、スイスイと走れてしまう。クラッチ操作なしでシフトアップ/ダウンできるオートシフターを使いこなせば、なおさら軽快に走ることができる。発進するときと停止するとき以外、クラッチレバーを握る必要がないのだ。
短い時間の試乗だったが、走りながら思わず「これ、神バイクだな……」と呟いてしまった。ストリートバイクとしては、国産輸入車を問わず、最も優れたモデルの1台だと思う。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★
河西啓介 編集者/モータージャーナリスト
自動車雑誌『NAVI』編集部を経て、出版社ボイス・パブリケーションを設立。『NAVI CARS』『MOTO NAVI』『BICYCLE NAVI』の編集長を務める。現在はフリーランスとして雑誌・ウェブメディアでの原稿執筆のほか、クリエイティブディレクター、ラジオパーソナリティ、テレビコメンテーターなどとしても活動する。
【KTM 1290スーパーデュークGT 試乗】思わず「神バイク……」と呟いた…河西啓介
2019年04月23日(火) 12時00分
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