BMW 3シリーズ 新型(330i Mスポーツ)《撮影 宮崎壮人》

1月に国内発表された新型BMW『3シリーズ』の現在の日本のラインナップは、「320i」の3グレード(SE、スタンダード、Mスポーツ)と「330i Mスポーツ」。明らかな性能進化や新装備の搭載など注目ポイントは様々あるのに価格上昇を押さえているというのだから、ちょっと嬉しいと思えるのではないかしら。

今回試乗がかなった330i Mスポーツは既存『M3』にも採用されているMスポーツサスペンションやMスポーツディファレンシャルを標準搭載している、ラインナップ中でも最もスポーティなモデル。このショートインプレッションでは気になるハンドリングを中心に紹介させていただきます。

◆スポーティか、と聞かれたら「スポーティです!」


スポーティか、と聞かれたら「スポーティです」と間違いなく答える新型3シリーズ。改良が行われ新搭載された2リットルツインスクロールターボエンジンは、あらゆる常用回転域で50Nmのトルクアップがはかられ、最新世代の8ATとの組み合わせも良好。フル加速の品良くもシャープな加速力はもちろん、街中で欲しいトルクを、意のままに、誰でも、欲しい分だけ得ることができることに間違いありません。

走行中の足下やハンドルを握る手元に伝わる重厚さはBMWらしいポイント。世代によっては乗り心地の硬さが気になるモデルもあったけれど、新型ではハンドリングと乗り心地のバランスも申し分ない。難点は、BMWモデル史上最もステアリングホイールが太いということ。Mスポーツでなければもう少し細いということだから、そのあたりは好みと使い勝手を考慮されたし。

とは言え、ワインディングでのドライブフィールは前述のMスポーツ専用の足回りの効果もあるのでしょう。特に走行モードの“スポーツ”を選べばよりクイックなステアリングレスポンスが際立ち、前後のタイヤを含むボディの一体感を楽しむことができます。

◆“良質なセダン”の魅力が増したことは明白


ちなみに応答性の良さ=応答遅れの少ないハンドリングは、運転に不慣れな方にとってもスムーズなコーナリングを可能にしてくれる機能とも言えます。“コンフォート”モードならアルデンテに茹でられたパスタのように、芯は残ってスポーティな印象は変わらないけれど、ステアリングの操舵の重さや乗り心地は快適方向。いずれのモードでも不快な印象を抱くことはありませんでした。それは同クラスモデルと同等かそれ以上の広さを感じられる後席の乗り心地もしかり。

くどくて申し訳ないけれど、個人的にはハンドルの太さを除けば(そんなに言うほどでもないよ、と思われる方もいるでしょうけれど…)、新型3シリーズのボディやエンジン、サスペンションのスポーティな進化は、単にクルマ好きを喜ばせるためだけのものでないことは確か。ドライバビリティ一つとっても、これまで以上に“良質なセダン”の魅力が増したことは明白です。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。

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