ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》

ホンダのハイブリッド専用車である『インサイト』の3代目は、4ドアのセダンボディで登場した。『シビック』とプラットフォームを共用するが、ボディサイズはちょっとだけ大きい。が、日本で持て余さないサイズだし、キャビンも広くて快適だ。

座り心地のいいシートと相まってフロントシートはベストポジションで座れるし、後席もハイブリッド車のハンディを感じさせない広さを確保している。6:4分割可倒式だし、トランクスルー機構もあるから荷物も積みやすい。

◆エンジンの存在を意識させられる場面は少ない



最新のインサイトは、40%を超える熱効率を誇る1.5リットルのアトキンソンサイクルDOHC・i-VTECエンジンに2つのモーターを組み合わせたi-MMDハイブリッドシステムを採用した。トランスミッションは電気式の無段変速機だ。最大の特徴は、走行シーンの多くをモーターだけで走ることができることで、快適性はかなり高い。エンジンは発電機として使うのが基本で、発電した電力を使ってモーターを駆動させる。

パワーフィールは上質だ。ドライバビリティも優れている。小さなバッテリーだからエンジンは頻繁にかかり、発電を行う。が、遮音を徹底したこともあり、静粛性は高く、エンジンの存在を意識させられる場面は少なかった。他のハイブリッド車と違って穏やかな味付けで、唐突な飛び出し感やトルクの盛り上がりがないから自然体で運転できる。

しかもアクセルを踏み込んだときはエンジンも一緒に回転を上げて加速するから、違和感を覚えないのだ。高速クルージングではエンジンも使うが、燃費の落ち込みが小さかったことも特筆できる長所である。静粛性もかなり高いレベルにあり、快適だった。もう少しフロアまわりがしっかりしていれば、さらに上質なファミリーカーになるだろう。

◆過度なスポーティ感はなくリラックスできる



ハンドリングは素直で、街中でも高速道路でも扱いやすかった。コーナリングではロールの出方が滑らかだ。ステアリングの応答性もよく、コーナーの出口では踏ん張りが利く。狙い通りに走らせることができるが、過度なスポーティ感はないのでリラックスした気分で運転できた。

ストロークをたっぷりととっているから乗り心地も穏やかだ。大人っぽい走りのインサイトは、価格もリーズナブル。試乗する価値のある、ジェントル派のハイブリッドセダンと言える

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ インサイト 新型《撮影 雪岡直樹》 ホンダ インサイト 新型《撮影 雪岡直樹》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ インサイト 新型《撮影 雪岡直樹》 ホンダ インサイト 新型《撮影 雪岡直樹》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX《撮影 清水知恵子》 ホンダ・インサイトEX・BLACK STYLE(ルーセブラック・メタリック)《画像 ホンダ》 ホンダ インサイト EX(ルナシルバー・メタリック)《画像 ホンダ》 ホンダ インサイト EX・BLACK STYLE フロントスタイリングイメージ(ルーセブラック・メタリック)《画像 ホンダ》