UDクオン:自動運転車両「Fujin」デビュー≪撮影:中尾真二≫

UDトラックスは、12日、国内では初となるレベル4自動運転機能を搭載した大型トラックの走行デモを行った。このトラックは、2018年4月に発表された『Fujin』『Raijin』のうちFujinに相当する。

Fujin、Raijinは、もちろん屏風絵でおなじみの「風神・雷神」のこと。Fujinは自動運転トラックのコードネームでRaijinはEVトラックのコードネームだ。自動運転のレベルは、制限区域など限られた条件で自律走行を行うレベル4を達成している。具体的には、港湾施設、工業団地、物流倉庫、トラックステーション、鉱山・採石場などで実質的な無人運転が可能なレベルと思えばよい。

車両はUDの大型トラック『クオン』をベースに3D LiDARセンサーと高精度RTK GPS、2系統の加速度センサー、ステアリングのアクティブ制御システムを追加している。これらと従来からのADASシステム(追従型クルーズコントロールや衝突被害軽減ブレーキなど)や電子制御トランスミッション(ESCOT-VI)を組み合わせてレベル4自動運転を実現する。

RTK GPSは、i-Constructionなどに応用されている測位システムで、基準点となる固定GPSアンテナと移動体側のGPSアンテナが通信しあうことで、高精度な測位が可能になる。車両のGPSアンテナと加速度センサーだけでも、かなりの制御は可能だが、RTK GPSによってFujinでは2.5センチ単位の位置制御が可能となる。

デモ走行は、UDトラックス本社敷地内のテストコースで行われた。車両はクオンCW(6×4)にコンテナ用の平台を架装したもの。ルーフに大きなGPSアンテナが見える。見通しがよければこのアンテナだけで十分な測位が可能とのことで、デモではRTKのローバー(基準点アンテナ)は設置されていなかった。

フロントグリル中央には3D LiDARのユニットが見える。プロトタイプとのことで、車体には埋め込まれていない。それ以外、外観上、自動運転車両であることを示す特徴はない。コースは、トラックステーションや物流センターなどを想定し、プラットフォームへの正面からの停止とバックからの停止。車庫入れのようなスポットへのバックでの侵入と停止。8の字走行などが行われた。

走行は事前にプログラムされており、ドライバーは万が一のために乗っているが、デモ中はステアリングに手を添えることはなかった。アクセルやブレーキ操作もいっさい行っていない。ドライバーの手がフリーになっていること以外、外から見ているかぎりクルマの動きに不自然なところはなく、スムースに動いていた。ただし、バックの車庫入れ操作では、一定の車速で各所のステアリング操作が1回で決まって、停止位置もスポットの中央にしっかり決まるところは、自動運転ならではの動きだ。

UDトラックスでは、2019年に特定パートナーとレベル4自動運転の実証実験を開始する予定だ。商品としての実用化は2020年を目指している。じつは、今回のデモで紹介された技術は、ボルボグループがグローバルで商品化されているものだ。ノルウェーの鉱山やブラジルのサトウキビ畑で、自動運転トラックが稼働している。

UDクオン:自動運転車両「Fujin」デビュー≪撮影:中尾真二≫ UDトラックス 開発部門統括責任者 ダグラス・ナカノ氏≪撮影:中尾真二≫ UDの自動運転ロードマップ≪撮影:中尾真二≫ ボルボはブラジルでレベル4のFHを稼働させている≪撮影:中尾真二≫ ノルウェーの鉱山では、石灰石の積み出し場までを自動走行。途中トンネルも通る≪撮影:中尾真二≫ デモ走行のライブ中継≪撮影:中尾真二≫ 3D LiDAR≪撮影:中尾真二≫ UDクオン:自動運転車両「Fujin」デビュー≪撮影:中尾真二≫ UDクオン:自動運転車両「Fujin」デビュー≪撮影:中尾真二≫ UDクオン:自動運転車両「Fujin」デビュー≪撮影:中尾真二≫ GPSアンテナ≪撮影:中尾真二≫