R18 Departed Custom Works Zon(YOKOHAMA HOTROD CUTSOM SHOW2018)《撮影 青木タカオ》

◆謎の「R18 DEPARTED」あらわる

国内最大級のカスタムの祭典、「YOKOHAMA HOTROD CUTSOM SHOW(ヨコハマ ホットロッド カスタムショー)」が、今年も12月2日にパシフィコ横浜にて開催され、1万8000人の来場者で賑わった。

インドアでのカー&モーターサイクルショーで、出展はクルマが300台、バイクが650台にも及び、国内はもちろん世界からも注目を集める。主催者の発表によれば、海外からも1700人が訪れた。

なかでも注目を集めていたのは、栄えある「Best Of Show Motorcycle」に選ばれたCustom Works Zon(カスタムワークス ゾン=滋賀県)のカスタムバイク。アワードの常連で、吉澤雄一さん&植田良和さんの高校生時代同級生コンビは、海外にも広く知れ渡る日本屈指のカスタムビルダー。展示するバイクは斬新で、いつも我々の想像の域をはるかに超えていくから見応えがある。

ホットロッド カスタムショーでアワードに選ばれるようなバイクはもはやアートの域に達していて、普通にZやカタナやCBがカッコイイと思う筆者には、本当のことを言ってしまえば、美しさやスゴさはなんとなく伝わってくるものの良し悪しなどわからない。

とはいえ、その造形美は凡人にも伝わるものがあり、近くで見るとなおさらで、いかに手間が掛かっているか、材質が素晴らしいかなどがわかり、時間を忘れて食い入るように眺めるのは毎年のことだ。

「R18 DEPARTED」と名付けられた今回のバイクも、やはり得体が知れない。フロントフォークはガータータイプで、前後ホイールは22インチとものすごく大きい。リヤは片持ち式で、ファイナルドライブはシャフト式。燃料タンクやシートカウルなどすべてがハンドメイドで仕上げられ、カーブの描き方などは凝りに凝った形状になっている。

◆プッシュロッドカバーがあるから、おそらくOHV…!?


しかし、分からないのが、トラスフレームに積まれた空冷式のフラットツインエンジン。BMW R nine Tの1169ccエンジンかと思ったが、いや違う、こんなにもシリンダーヘッドが大きいはずがない。これまで見たことがない水平対向2気筒で、「DEPARTED」のロゴプレートが付いている。いったいこれは何だろうか……!?

植田さんに聞くと、「BMWから今後発売予定の新作エンジンです。詳しいことは一切我々も知りません」とのこと。まさかそんな、信じられない……。BMWというドイツの超大手バイクメーカーの開発段階にある新設計パワーユニットが、海を越えてここ日本のカスタムショーにあり、しかも先鋭的すぎるカスタムバイクに載っかているなんて……。

ブースにちょうどBMW Motorrad の広報担当者がいたから、問いただす。すると、キッパリと言う。
「本当です。ここでまず世界初披露し、見ていただい人にいったいどんなモーターサイクルにこのエンジンが積まれて登場するのか、いろいろと想像を膨らませていただきたいと思っています!」

すごいぞBMW、挑戦的であるし、驚愕である……!! 2019年か20年か、いつになるかはわからないが、近い将来にデビューするニューモデルに搭載される完全新設計エンジンを日本のカスタムビルダーにあずけ、カスタムバイクの製作を委ね、世界から熱視線を集めるホットロッドカスタムショーで初公開するとは……。そんな話し、聞いたことがない。センセーショナルすぎる。

◆19年に登場か!? 排気量1800ccの超弩級フラットツインクルーザー


植田さんはさらに教えてくれた。「プッシュロッドカバーがありますけど、本当にOHVかどうかも僕らはわからないんですよ。エンジンから駆動系までを渡されて、走れるようにしてほしいと……。吸気機構はECUを含め何もないから、とりあえずキャブレターをつけて走行できるようにしました」

吉澤さんは「BMWにこんなスゴイ機会を与えてもらったから、プレッシャーがすごかったです。まずはアワードをとることができてホッとしています」と、安堵の様子。ショー直前まで製作のために不眠不休でやってきたが、今後は取材と撮影に追われる毎日になる予定だ。

なお「R18」は排気量1800ccを示す。1気筒あたり900ccという超弩級フラットツインを搭載したニューバイクとは、いったいどんなだろうか……。BMWの現行ラインナップには、1648cc並列6気筒エンジンを積むK1600シリーズがあるが、それを上回る最大排気量モデルとなるのだ。楽しみでしかない。

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