大画面対応車種350以上!進化を続けるパナソニック「ストラーダFシリーズ」《PHOTO パナソニック》

モニターを浮かせるフローティング構造により、標準的な2DINスペースに9インチ大画面カーナビを取り付け可能としたのがパナソニック「ストラーダ Fシリーズ」だ。その最新モデルとしてこの秋に登場した「F1XV」「F1DV」を紹介したい。

誰しも“大画面”を一度でも体験したらもう後には戻れないのは何も家庭用AV機器だけのことではない。カーナビゲーションでも同じことだ。それだけに大画面カーナビは大人気で、今や純正ですら8型サイズは当たり前で、9インチを超えるものも登場しているほど。

しかし、市販カーナビはそれがそう簡単にはいかない。大画面化には専用キットが必要だったりするからだ。言い換えれば、専用キットが用意されたクルマなら大画面化は可能でも、それ以外だと大画面は諦めざるを得なかったわけだ。そんな状況を覆したのが2016年夏に登場したパナソニックのAV一体型ナビ「ストラーダ Fシリーズ」である。

その最大の特徴としているのが、2DIN本体とは別にモニターを浮かせるようにして取り付けていることだ。これにより、専用キットなしでも大画面化を実現。その対象車は、軽自動車はもちろん、ミニバンやSUVに至る350車種以上で大画面化を可能とした。そして今回、ディスク対応をDVDにとどめて価格を抑えた「F1DV」をラインナップに追加。大画面カーナビをより身近なものしたというわけだ。

新型では機能の大幅な進化も果たしている。そのポイントは「安全・安心強化」「自車位置精度向上」「基本機能/操作のしやすさ」の3つだ。外装はやや見た目の変更を施したものの、ハード面では処理を司るCPUも含め従来機種を踏襲。主としてソフトソフトウェアの改良によってこれらを実現している。

「安全・安心強化」では逆走検知・警告や「ゾーン30」に対応した。さらに先進の信号情報活用運転支援システム(TSPS)への対応を果たした。

逆走については悲惨な事故を引き起こす要因にもなっており、その解決に向けた取り組みが急務となっている。最新モデルでは主に都市間高速の合流部で逆走を始めるとそれを自動的に検知。画面や音声を通してその状況を警告する。従来はSA/PAで休憩した後に逆走をしないよう注意を促していただけだったが、それに比べると大きな進化を遂げたと言っていい。

「ゾーン30」は、全国で整備が進んでいる生活道路の交通安全対策に則ったものだ。ゾーン30の区画を色分けして地図上に表示するほか、区画内に入ると地図画面上に30km/hの制限速度を大きく表示。区画内でその速度を超えると音声を使って注意喚起も行うなど二重での対策も施した。

「信号情報活用運転支援システム(TSPS)」は、信号の動きと連動してスムーズな運転をサポートするインフラ協調型の先進装備だ。現在の速度で走行を続けた場合、青信号のままで通過できることを案内し、赤信号に変わりそうな速度の場合は早めのアクセルオフを促してスムーズな運転を支援する。この機能を活かすことで、よりスムーズな走行支援を行うというわけだ。また、赤信号で停車した際には青信号に変わるまでのカウントダウンを表示し、青信号に変わるのを音声で知らせる。

ただ、TSPSはすべての道路で対応するわけではない。対象となるのは26都道府県の一部区間(2017年10月現在、VICSセンター資料による)で、さらにこの機能の実現にはETC2.0対応の車載機「CY-ET2500VD」の組み合わせが必要となる。少々コストがかかるものの、この機能が動作すると不思議なもので、うまく青信号になるよう案内に合わせて走行するようになる。特に信号のカウントダウンは急発進や急停止を防ぐことにもなり、安全・安心に大きく寄与するはずだ。

「自車位置精度向上」の実現はカーナビにとって生命線と言えるもの。この精度いかんによってカーナビの評価は大きく変わると言っていい。今回の新型はその部分でも大きな進化を果たしている。それは測位アルゴリズムの変更と新GPSチューナーの採用によるものだ。

測位アルゴリズムの変更では、高速道路出入り口の傾斜道路の地図データに高度検知が可能なポイントを設置し、道路の高低差などの認識率を高めている。また、GPSチューナーは準天頂衛星みちびきの測位時間を従来の8時間から24時間に拡大(2018年11月より開始予定)した。GPSを補完する時間帯が広がることで、結果としてビル街、地下駐車場出庫時の位置精度向上に貢献することになるのだ。

「基本機能/操作のしやすさ」は、ハード面でのスペックから詳しく見ていこう。起動して真っ先に気付くのが画面の美しさだ。特に上位機種の「F1XV」に採用した「ブリリアントブラックビジョン」には、広視野角かつ高輝度で高い評価を得ているIPS方式液晶パネルを採用。加えて、表面の低反射パネルとの間にボンディング加工を施し空気層をなくすことで、外光反射やぎらつきを抑えている。従来通りモニターの角度を左右や前後に振れる機構も踏襲する。

これにより、9インチ大画面の迫力もさることながら、映し出された映像はコントラストが高く、地図や地デジ、ブルーレイも鮮明そのものだ。視野角もかなり広いので、後部座席からの視認性もとても高い。せっかく本機に用意された左右各々15度の角度調整できる機能すら不要と思えてしまうほどだ。その映像の美しさはカーナビ中ナンバーワンの実力を持つと断言してもいい。

一方の「F1DV」にはTN方式を採用し、AGLR低反射フィルムで視認性を高めている。そのため、IPS方式の「F1XV」と比べると画質面で見劣りはする。ややコントラストが低い分、鮮明さで差が出るのだ。ただ、それは2台並べたらの話。単独なら「F1DV」でも十分に美しい。何せ、世の中のカーナビの大半はTN方式を液晶パネルに採用しているわけで、つまり、「F1XV」が世のカーナビよりも贅沢なスペックを採用したというわけ。この画質にこだわるなら「F1XV」一押しとなるのは間違いない。

操作性の改善ではステアリングスイッチの機能を拡充したのが大きい。従来のボリュームUP/DOWNやトラックサーチに加え、音声認識にも新たに対応させることを可能としたのだ。また、オーディオの選曲ではアルバムやアーティスト、ジャンルなどから選べるようになり、ナビ画面上では地図上の3Dビルを必要に応じてON/OFFできるようになったのも見逃せない。タッチパネルは直感的な操作ができる一方で、画面上まで手を伸ばす必要がある。手許の操作で簡単に操作できるのは安全上も好ましいわけで、Fシリーズはここでも安全・安心を具現化しているのだ。

カーナビの基本性能であるルート案内では、新交通情報サービス「VICS WIDE」を標準搭載している。これまでは渋滞回避ルート探索を行うには別売のビーコンユニットを追加しなければ利用できなかったが、「VICS WIDE」によってFM多重の受信だけで渋滞回避を実現。パナソニックの「スイテルート案内」により、より早く、快適なルートを自動的に探索・案内することを可能としたのだ。さらに、大雨などの気象情報をキャッチしてポップアップ表示。この警告により、いち早い避難に貢献するというわけだ。

最後にエンタテイメント機能について。「F1XV」はブルーレイディスクの再生に対応している。ブルーレイが持つ大容量を活かした高画質なフルHDソースを再生できるだけでなく、CDを格段に超える高音質を実現したハイレゾ再生にも対応。その再生を支える構成部品や回路など細部まで吟味し、ハイレゾ再生を支える新パーツも加えて音の良さも徹底してチューニングしている。一方の「F1DV」はブルーレイやハイレゾには非対応。iPodやSDカード、USBメモリによる再生も可能としているのは両機種共に共通だ。

「ストラーダ Fシリーズ」の最新モデル「F1XV」「F1DV」は、“大画面カーナビをみんなものに”する魅力に満ちあふれている。高機能モデルの「F1XV」とスタンダードモデルの「F1DV」は、対応車種や「安全・安心運転サポート」などの機能に差はほとんどない。画質を含め、ハイレゾ再生などAV機能を重視するなら「F1XV」、より身近に大画面を楽しむなら「F1DV」となるだろう。

対応する車種は350以上で大画面ナビを楽しめる《PHOTO パナソニック》 ブルーレイ搭載のF1XVとDVD搭載のF1DVでは画面の調整機能が変わってくる《PHOTO パナソニック》 F1XVには高い視認性と高コントラストなモニターを採用。F1DVには外光のギラ付や反射が低減されるAGLR低反射フィルムが使われている《PHOTO パナソニック》 気付かず走ると大事故に繋がる逆走を検知・警告する機能を搭載。別売のETC2.0車載器「CY-ET2500VD」を搭載で信号情報活用運転支援システムに対応する《PHOTO パナソニック》 ゾーン30への対応や、制限速度や一時停止などの注意喚起も分かりやすく表示される《PHOTO パナソニック》 準天頂衛星みちびきに対応しており、安定した衛星データを受信可能で精度向上に大きく寄与している《PHOTO パナソニック》 渋滞を避けた「スイテルート」で快適ドライブが可能《PHOTO パナソニック》 DVD搭載のF1DVは手頃な価格で大画面を導入できる《PHOTO パナソニック》