(新聞ウォッチ)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年9月12日付

●北海道節電長期化へ、火力発電全復旧11月以降(読売・1面)

●ルネサス攻めの経営、米半導体7300億円買収、市場拡大海外勢に対抗へ(読売・8面)

●中国新車販売ブレーキ、2か月連続前年割れ(読売・8面)

●パイオニア250億円調達、香港ファンドが融資へ(読売・9面)

●ニッポンレンタカー、24時間営業を廃止へ(朝日・7面)

●ふるさと納税良識頼み断念、地方税法改正検討(毎日・2面)

●三菱ふそうがタイに新工場、来月着工(毎日・7面)

●電動スクーター台湾企業と協業、ヤマハ発(毎日・7面)

●社説・自動車追加関税、「米国にも損」訴えを(東京・5面)

●民駐広がるか、自宅の駐車場有料で貸し出し(東京・7面)

●郵便配達平日のみに、総務省、郵便法の改正検討(日経・1面)

●インド乗用車販売2か月連続減少、8月、長雨で経済まひ(日経・13面)

●スバル、小型SUVにHV追加(日経・14面)

●パナソニック申告漏れ、海外子会社売却で421億円、国税局指摘(日経・39面)


ひとくちコメント

半導体大手のルネサスエレクトロニクスが、米半導体メーカー大手のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を買収し、完全子会社化することで合意した。買収金額は約7330億円で2019年前半の買収手続き完了をめざすという。

ルネサスによる米半導体企業買収のニュースはすでに9月1日付の日経が1面トップで報じていたが、11日に同社の呉文社長が記者会見を開き、正式発表したもので、11日夕刊に続き、きょうの各紙にも「ルネサス米半導体買収」などの記事を詳しく取り上げている。

それによると、通信用の半導体を得意とするIDTを子会社化にすることで、ルネサスは今後成長が期待される自動運転やデータセンター向けの事業を強化する狙いがあるとみられる。

ルネサスといえば、前身は日立製作所、三菱電機、NECの半導体事業で、自動車用の半導体で世界有数のシェアを持つ。だが、2011年3月の東日本大震災で茨城県ひたちなか市にある主力工場が被災し、経営危機に見舞われた。その後、産業革新機構を軸にトヨタ自動車などから出資を受けて経営再建を進めてきた。ルネサスでは17年にも電源制御用などの半導体をつくる米インターシルを約3300億円で買収ししている。

今回の買収額は国内の半導体メーカーとしては過去最大級。世界の半導体業界では、事業規模を大きくすることで競争力を高めようと、国境を越えた再編の動きが活発だ。

きょうの読売は「ルネサス攻めの経営」として「半導体業界は市場の拡大が見込まれ、世界的に競争が激しくなっている」と取り上げたほか、日経も「データ経済を支える半導体は市場の評価も高く争奪戦は激しくなる」と伝えている。

自動車の自動運転など成長分野で海外勢に抵抗するための大型買収のようだが、高い買い物で再び経営のほうが身動きがとれなくなって迷走しなければいいが……。