エンジンの排気量が経済力を示し、大きさを追い求めた時代は、いまや旧石器時代並みの遠い昔である。技術進化と価値観の変化は常にアップデートしなければいけないけれど、アウディの、しかもSUVに1リットルのエンジンが搭載されるとは、ちょっと予想外に早い展開である。
だって、1リットルといえば999ccである。ターボがついているからといって、1リットルに満たないエンジンって。期待と不安と、いくらなんでも1リットルでは厳しいんじゃないのというナナメの姿勢で乗り込んだものの、私の疑惑は最初の加速ですべて後方に吹っ飛んだ。
早い。いや、軽い。SUVの背が高くて重量感のあるボディをものともせず、飛ぶように加速していくのだ。アクセルをちょいっと踏むだけで得られるこの気持ちよさ。999cc、ばんざいと大声で言いふらしたくなる。
ただ、当然、弱点もある。それは、時速40〜50kmくらいで街なかを一定速度で走るときだ。この速度域だとエンジン回転数は2000回転をきり、とたんにこもる。また、こもり音かと言われるかもしれないが、実際問題として、この速度域を多用するユーザー、たとえば郊外で生活し、信号が少ない道をこの速度域で、しかも長時間運転するようなパターンでは、かなり気になると思う。
ただ、日本にジャストフィットともいえるこのサイズ(全長4200×全幅1795mm)。四人乗っても十分な広さと走りの力強さ。荷物室も広い。そして、燃費もよく、自動車税も安い999ccのエンジン。この街なかのこもり音さえ気にならない使い方ができれば、絶対的にお勧めの一台である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。
【アウディ Q2 試乗】999cc、ばんざいと大声で言いふらしたくなる…岩貞るみこ
2018年02月04日(日) 17時00分
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