#10 ラトバラ(トヨタ)は最終ステージで2位を失った。《写真提供 TOYOTA》

世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリー・オーストラリア」が現地19日にフィニッシュを迎え、ヒュンダイのティエリー・ヌービルが今季4勝目を飾ってシーズンを締めた。トヨタのヤリ-マティ・ラトバラは最終ステージでコースオフ、2位を逃している。

タイトル争いの方は、既に#1 セバスチャン・オジェ(Mスポーツ)のドライバーズタイトル5連覇と、フォード・フィエスタWRCを走らせるMスポーツのマニュファクチャラーズタイトル獲得が決まっているWRC、最終戦オーストラリアを制したのは#5 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)だった。

今季シリーズ2位となったヌービルは、これが年間4勝目。王者オジェ(最終戦4位)ら3人に2勝差をつけ、シーズン最多勝ドライバーとなった。現在は自動車メーカーのワークスではないMスポーツを含めた4大トップ陣営の今季勝ち星は、Mスポーツ5勝、ヒュンダイ4勝、そしてトヨタとシトロエンが各2勝というかたちで終幕している。

18年ぶりにワークス参戦を開始したトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing WRT)は、ヤリスWRCで初年度に2勝。最終戦でも#10 ヤリ-マティ・ラトバラが最終ステージ出走時点で2位につけていたのだが、最後まで攻めていった結果、コースオフを喫してリタイアとなってしまった。2位は#2 O. タナク(Mスポーツ)、3位は#4 H.パッドン(ヒュンダイ)。もう1台のトヨタ、#11 E. ラッピは6位だった。

#10 ラトバラは「チャンスを求めて全力でアタックした。全開で走ればこういうことも起こり得る。もちろん、このようなかたちでシーズンを終えたくはなかったけれど、これもまたラリーだ。今すぐには前向きな気持ちになれなくとも、すべての経験から学べることはあり、決して無意味ではないと思っている」と語り、「リタイアする前までは良い戦いができていた。それにチームは今季、自分の予想を大きく超える素晴らしい体制を整えてくれた。心から感謝している」と、自身とラッピが1勝ずつした“トヨタ復活年”の充実を振り返っている。

チーム総代表を務める豊田章男トヨタ社長は、「トミ(マキネン代表)をはじめ、チームのみんなは本当に心をひとつにして、この1年を戦い抜き、そして学び続けてくれました。全力を尽くしてくれたチーム全員に、心から感謝しています。ありがとう、そして、おつかれさまでした!」と、やはり“学びの年”の成果に満足感を示すコメントを寄せた。

そして豊田社長は来季に向け、「新しいドライバー(O. タナク)とコ・ドライバーも加わることが決まり、さらに高みを目指す1年にしてまいります。もっといいクルマづくりにも、学びにも、終わりはありません。全力で戦ってまいりますので、引き続き応援いただきますよう、よろしくお願いいたします」と結んでいる。

2018年のWRCは1月のラリー・モンテカルロで開幕、全13戦の日程で争われる予定。復帰2年目、ラトバラ&ラッピ&タナクの布陣で臨むトヨタにはさらなる飛躍、王座争いを見据えての戦いが期待されるところだ。

最終戦は残念な結果に終わったラトバラ。《写真提供 TOYOTA》 最終戦の優勝は#5 ヌービル(ヒュンダイ)。《写真提供 Red Bull》 ヌービルは今季4勝目をあげた。《写真提供 Red Bull》 優勝した#5 ヌービル(ヒュンダイ)。《写真提供 Red Bull》 最終戦の表彰式。左から2位タナク組、優勝ヌービル組、3位パッドン組。《写真提供 Red Bull》 最終戦6位の#11 ラッピ(トヨタ)。《写真提供 TOYOTA》 今年のWRCはシトロエン、Mスポーツ(フォード)、ヒュンダイ、トヨタの4大陣営の戦いに沸いた。《写真提供 TOYOTA》