ドイツ・ボックスベルグで開催されたボッシュ株式会社モーターサイクル・パワースポーツ部主催のメディア向け技術説明会で、同社のモーターサイクル用テクノロジーが11カ国から集まったジャーナリストらに次々と紹介された。
記者も体験し、その高い安全性と先進性を感じたのは『モーターサイクル用スタビリティ・コントロール・システム(MSC)』だ。
これは前後連動式ABSを技術的なベースとしたもので、多数のセンサーと最新のソフトウェアが組み込まれた先進的なシステム。車体の傾斜角とピッチ角に応じたABSコントロールであったり、トラクションコントロールが最大エンジントルクを自動調整するなどさまざまなセーフティ機能を持ち合わせているが、まずはコーナーでも安全なブレーキングを可能としていることがよくわかった。
順を追って説明すると、まず車輪がロックする兆候を検知すると、ブレーキ圧を制御しホイールロックを回避するのが『アンチロック・ブレーキ・システム』つまりABSだ。
ライダーはフルブレーキ時も操舵性を確保することができ、より素早く車両を停止させることが可能になる。
しかしコーナーで急ブレーキをかけると、車体は二輪車の特性から直立姿勢に戻ろうとし、この意図しないマシンの立ち直りにより、コーナリング半径が大きくなってしまい、その結果、車両が車線を逸脱してしまう恐れがある。
MSCは前後ブレーキの制動力を最適に配分するなどし、これを制御。実際にボッシュのテストコースにて、ステップ裏のバンクセンサーが路面を擦るほど車体を寝かし込んだ状態で、ABSを効かすほどの急ブレーキをかけてみたが、カーブの外側に膨らむことなく車両を停止させることができた。もちろんローサイド転倒のリスクも感じずにだ。
オートバイで旋回中に、フロントブレーキを目一杯握ることなど、これまではタブーであったが、ボッシュのMSCが搭載されていれば、その常識はもはや通用しない。驚くばかりであると同時に、カーブでの事故を減らすことができると強く思った。
協力:ボッシュ(技術説明会)
【独ボッシュ二輪技術説明会】旋回中もフルブレーキが可能…MSCの高い安全性を実感
2017年06月16日(金) 21時30分
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