テープカット《撮影 佐藤耕一》

アイシン精機は5月9日、先端技術開発および情報収集と渉外活動の拠点として4月に開設した「台場開発センター」(東京臨海都心)の開所式を実施、報道陣に公開した。

本拠点を含め、国内に3か所(愛知、東京、熊本)、海外に6か所(北米、欧州、中国、インド、タイ、ブラジル)の開発拠点で技術開発に取り組む。

アイシン精機では、これまで東京都港区にあるオフィスで半導体の要素技術を中心に開発を行ってきたが、自動車業界を取り巻く環境変化に迅速に対応するため、自由な発想や新しい価値の創出をめざし、湾岸エリアのお台場へ既存のオフィスを移転・拡張する。

台場開発センターでは、アイシン精機が3つの次世代成長領域とする「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクテッド」への適用に加え、人工知能の基盤技術の開発を行っていくとされる。今後本センターを拠点として、人工知能によるアルゴリズム開発とそれを実現するハードウェア開発に取り組む。従業員は当初50名でスタートし、将来的には100名程度へ増員する計画だ。

開所式に登壇したアイシン精機の伊原保守取締役社長は、「外資系サプライヤーとの競合、異業種からの参入など、競争環境が変化しているなか、アイシン精機では、「ゼロエミッション」「自動運転」「コネクテッド」の3つの成長領域に対して、6つの開発ワーキンググループを準備し、開発リソースを集中しています。そしてそれらを知能化するための拠点として、当センターを開設しました。人工知能の基礎開発において、重要な拠点となります」と説明した。

そして、「とても環境がいいところなので、早期に成果を出してくれると思います。藤江さん、期待してます!」と、副社長の藤江直文氏に発破をかけた。

また、来賓として経済産業省 製造産業局 電池・次世代技術・ITS推進室長の奥田修司氏が登壇した。「経済産業省の自動走行ビジネス検討会の議論の中でも、ソフトウェア技術者、人材の育成を非常に重要視しています。そのため、自動走行ビジネス検討会の重要9分野のひとつとして「ソフトウェア人材」を追加しました。」

「また、学生にも目を向けてもらうための試みとして、経済産業省主催の未踏事業にも自動運転の開発分野を追加するなど、ソフトウェアの人材育成に注力していきます。アイシン精機様の台場開発センターは、自由な発想が生まれる素晴らしい環境のオフィスだと感じました。こういった拠点で人材が育つことを期待しています」

開所式の後に行われた囲み取材においては、AIソフトウェアエンジニアの人材獲得について質問が集中した。伊原社長はそのなかで「まずは50名程度でスタートしたいと考えています。アイシン精機からの人材は20名程度とし、新規に即戦力として、30名ほどをキャリア採用で獲得する予定です。そして最終的にはさらに50名増員し、100名体制に持っていきたいと思います」

「待遇面についても、刈谷(本社)の仕組みをそのまま適用するだけではなく、柔軟に考えていきたいです」と、人材獲得に強い意欲を見せた。

副社長の藤江直文氏は、「アイシン精機はメカトロニクスが非常に強い会社です。そのメカ技術にソフトウェアを組み合わせることで、新しい価値を生むことができると考えています。その点は大きなやりがいを感じていただけると思います」とアピールした。

アイシン精機の伊原保守取締役社長《撮影 佐藤耕一》 経済産業省製造産業局電池・次世代技術・ITS推進室の奥田修司室長《撮影 佐藤耕一》 開発センターの場所にお台場を選んだ理由《撮影 佐藤耕一》 台場開発センターの役割は、産学官・ベンチャーとの連携、人工知能基盤技術開発とされる。《撮影 佐藤耕一》 アイシン精機が次世代成長領域とする3つのテーマと、6つのワーキンググループ。《撮影 佐藤耕一》 開所式のあとには、自動運転レベル3を想定した統合HMIのデモが行われた《撮影 佐藤耕一》 生体検知機能を有し、居眠りを検出するとダッシュボード全体が赤くなり、シートが振動するなどして注意喚起をする。《撮影 佐藤耕一》 取材に応える植中専務役員、伊原社長、藤江副社長(左から)《撮影 佐藤耕一》