3万円台の高コスパなスピーカーが増加中! 高音質の仕組みから選び方まで徹底解説

車内の音質を大きく向上させるキーユニットであるスピーカー、なかでも手軽に交換取り付けできるトレードインスピーカーの高コスパ化が進んでいる。今回は3万円台で手に入るスピーカーにメーカーが込めた思いやその音質について迫っていくことにした。

◆初めてのスピーカー交換で要注目の“3万円台”スピーカー
純正交換タイプのトレードインスピーカーはもっとも多くのユーザーが手に取りやすい手軽なスピーカーだ。純正状態からもっと良い音で音楽を聴きたいと思ったら真っ先に手を付けるのがスピーカー交換だろう。なかでも加工などが不要でポン付けできるトレードインスピーカーは汎用性も高く誰もが親しみやすいユニットだ。

そんなトレードインスピーカーは近年進化を遂げ、各社が高音質化に磨きを掛けたモデル群をラインアップしている。その中で特に注目なのは3万円台のモデル群だ。トレードインスピーカーでは中核をなす価格帯であることから各社が開発に力を入れメーカー間の競争も激化している。その結果コストパフォーマンスに優れるお買い得モデルがズラリと揃うカテゴリーとなっているのだ。カロッツェリアのCシリーズ、さらにはJVCケンウッドのXSシリーズなどがその代表例だろう。もちろんリーズナブルなエントリーモデルや、高級なハイエンドスピーカーも用意されているのだが、3万円台のモデルに注目したのは音に対するコストパフォーマンスの高さだ。最初に買うスピーカーにこの価格帯のモデルを選んでおけば、音が良くなった実感が得られやすくオーディオの楽しさをリアルに感じられるのがオススメする最大の要因なのだ。

そんな注目の3万円台スピーカーの中でも、今回ピックアップしたのはJVCケンウッドのXSシリーズ「KFC-XS175S」だ。JVCケンウッドは2013年にいち早くハイレゾ対応のスピーカーをリリースしたことでも知られるメーカーで、トレードインスピーカーをリリースする数あるメーカーの中でも数多くのヒットモデルを送り出し独自のスタンスで高音質を追求しているブランドである。今回の取材ではメーカーがどのような考えを持って製品開発を行っているのかまで深掘りするために各担当者から話を伺った。

◆3万円台のスピーカーでメーカーが特にこだわっている部分はどこ?
ではここからは最新モデルとなる「KFC-XS175S」の魅力、さらには3万円台モデルに込めたメーカーの思いについて紹介して行くこととにする。最初に商品企画の嘉藤裕作さんからコンセプトや音の方向性について話をうかがった。

「JVCケンウッドはグループ会社にビクタースタジオを持っていて、ここでは数多くのアーティストがレコーディングを行い楽曲が送り出されています。そんなアーティストの想いを知っているレコーディングエンジニアがスピーカー開発に協力したのが同モデルの大きな特徴なのです」

コンセプトである「アーティストの想いを、届けたい」はそんな開発陣の想いを象徴している。さらにJVCケンウッドには昨年完成した横浜市の新社屋に充実の開発環境を整え、開発者の思いを製品にフィードバックする最新鋭の開発施設を揃えているのも強みだ。

「ビクタースタジオとの協力の中で“アーティストの想い”とは何かを具体化することから開発はスタートしています。録音した音をそのまま再現する基本は忠実に守りつつ、その上に感性の部分として付加されるのが『ツヤ』『ヌケ感』『前に出る音』『余韻』の4項目と考えた開発陣は、これらを再現することこそがレコーディングエンジニ、そしてアーティスト自身が思ったとおりの音を再現することになるのだと開発が進められることになりました」

コンセプトに沿ったサウンドを3万円台の価格帯で再現することを狙った「KFC-XS175S」、次に今回の開発を担当した技術部の石川祐介さんに同モデルの音に関わる特徴について紹介してもらうことにした。高解像度の音をベースにしつつ、臨場感のあるサウンドを再現するためにさまざまな技術が込められている。

まずは地味なパーツだがスピーカーのピストンモーションを支えているダンパーにトルネードダンパーを採用、その名の通りトルネード状の形状で共振点をズラし歪みを抑えることに成功している。

「Tポールヨークと呼ばれる磁気回路はスピーカーが押す(前に出る)/引く(後ろに引っ込む)動きを前後対称にすることに貢献して低歪みで高解像度な音の再現に寄与しています」

さらにXSシリーズのスピーカーでは定番となっているアルミショートリングはボイスコイルから発する磁場をキャンセルすることで駆動力の変動を防ぐ役目がある。この価格帯のスピーカーでは見られないハイレベルは技術でもある。

このように正確な再生音を作る一方で音の臨場感、音色を生み出すために用いている技術に数多い。そのひとつがミッドバスに用いられているグラスファイバー振動板だ。ガラス繊維の裏から不織布を貼り付けた構造で中域の厚みと明瞭なサウンドを引き出す。またミッドバスの中央部に金色に輝く大型のイコライザーが設置されているが、これにも大きな意味がある。

「外周部のリングはボーカルの厚みに影響、その内側のスリットではボーカルのツヤ感、さらに中央部に凹みはボーカルの明確さを、また表面を同心円状に研磨したスピン加工は音のツブ立ちを際立たせる効果があります」

一方のツイーターにも渾身の技術が込められている。このツイーターは実は中央部の9mmチタンドームとその外周部に25mmソフトドーム(ポリエステル)を組み合わせた2ウェイ構造としているのだ。高域(5kHz〜)を担当するソフトドームで柔らかさを表現しつつ、超高域(10kHz〜)を9mmチタンドームが担当し、ヌケの良さを表現しているのだ。ネットワークで帯域分割される本格的なシステムであり、ミッドバスと合わせて3ウェイ(中域/高域/超高域)構成としているのも贅沢なモデルだ。

◆各社がしのぎを削っている価格帯だからこそ渾身の技術を注入
各部のテクノロジーを聞けば聞くほど手頃な3万円台のトレードインスピーカーとは思えない高い技術と音へのこだわりが込められたことがわかる「KFC-XS175S」。ではそのサウンドは一体どのようなものなのかを試聴室とデモカーの両方で試してみることにした。

今回の試聴ではアカペラ女性ボーカル、バンド演奏、さらには男性ボーカルを使った試聴を実施した。ボーカルが再生されはじめると実在感が際立つ、開発陣が大切にしたツヤ、余韻が見事の表現されている。音のアウトラインが明瞭であることもこのスピーカーの美点でもある。また音の抑揚の豊かさも魅力、特にすっと音が消える瞬間に周囲のスタジオの残響音を感じさせるような余韻が残る感覚もリアルだ。さらにバンド演奏を聴くと各楽器の分離感、さらにはその上に浮かび上がるボーカルといった立体音像が美しく表現されていて、目の前でアーティストが演奏している感覚に浸れる音になっている。

デモカーで同様の楽曲を聴いたが、基本的な音の傾向は同じだが、サブウーファーを追加したこともありパンチの効いたドライブミュージックが楽しめるサウンドに仕上がっていた。いずれの音源いずれのシーンで聴いてもその音は真面目で実直、派手な演出などを排除して原音を見事に表現しているサウンドだと感じた。

このように技術説明と試聴を行うことで3万円クラスのトレードインスピーカーの実力の高さがひしひしと伝わってきたJVCケンウッドの「KFC-XS175S」。手頃な価格帯に対して音のパフォーマンスが非常に高くお買い得感のあるモデルであることも実感した。これから愛車のオーディオをグレードアップしたいと思っているユーザーで何から選べば良いのかに迷っているならば、3万円台のトレードインスピーカーを真っ先に導入してきることがオススメだ。価格以上の満足度が得られることは間違いないだろう。

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