ホームストレートからターン1を左折、画面右へ。画面左はピット出口(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》

電気自動車(EV)による世界最高峰のレース「ABB FIAフォーミュラE世界選手権」が5月17、18日に東京で開催される。東京有明ウォーターフロントにある、ビッグサイト周辺の公道と駐車場を利用した特設コースでレースが行なわれる。


●音が小さいので市街地でレースできる
「フォーミュラE」は、電気モーターを動力源としたフォーミュラカーによって争われる、FIA統括の国際レースシリーズだ。2014年に北京で初めて開催された。音が小さい電動レーシングカーを使用するので、市街地の公道でレースを開催するのがこのカテゴリーのひとつの特徴だ。ただし音がしないと言っても内燃機関のレーシングカーと比べてであって、それなりの走行音はする。

レースイベントは、内燃機関のF1によるGrand Prix(グランプリ)にならってE Prix(イープリ)と呼ばれる。東京戦“東京E Prix”はシーズン11の第8戦(5月17日)と第9戦(5月18日)になる。参加するのは11チーム22台、マニュファクチャラーは6社。シーズン11は2024年12月7日開催のサンパウロE Prixから2025年7月27日開催のロンドンE Prixまで、全16戦だ。

●日産が参戦中、ヤマハ発動機も今シーズンから
日本車メーカーでは日産自動車がシーズン5(2018/19年シーズン)から参戦しており、現在でも日本で唯一の参戦自動車メーカーとなっている。チーム名は「日産フォーミュラEチーム」。23号車オリバー・ローランド、17号車ノーマン・ナトーが「Nissan e-4ORCE 05」で走っている。

またヤマハ発動機が2024年3月に、フォーミュラEのレーシングチームに車体を供給するローラと提携し、今シーズンから協同開発した動力ユニットを搭載したマシン「Lola T001」で、レーシングチーム、ABT(アプト)と共に「ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム」として参戦した。ドライバーは11号車ルーカス・ディ・グラッシと22号車ルーカス・ゼイン・マロニー。

ここまでの第7戦を終わって、ドライバーズランキング1位は日産のローランド(115ポイント)、2位はタグホイヤー・ポルシェのアントニオ・フェリックス・ダコスタ(67ポイント)。ローランドのチームメイト、ナトーは19位だ。チームランキングはタグホイヤー・ポルシェが133ポイントで1位、日産が7ポイント差で2位にいる。ローラ・ヤマハABTは10位。マニュファクチャラーズは日産が192ポイントで1位、2位はポルシェの163ポイント、ローラは6位。

●東京E Prixはオーバーテイクが200回
東京E Prixは2024年に続いて2回目の開催だ。昨年の優勝はマセラティ・MSG・レーシングのマクシミリアン・ギュンターで、日産のローランドが2位だった。3位はアンドレッティ・フォーミュラEのジェイク・デニス。

また2025年の東京E Prixは、昨年の1戦開催から2戦開催に増えた。フォーミュラEのジェフ・ドッズCEOは「昨年はチケットが早くに完売したので、2戦開催として需要に応えた」と言う。

フォーミュラE専用東京ストリートサーキットは、東京ビッグサイト東館周囲に公道と駐車場を利用して設営される、2.582kmの国際規格レーシングコースだ。高速コーナーとタイトコーナーをストレートでつなぎ合わせたレイアウトで、地形を利用したアップダウンもあり、正確なドライビングスキルが求められるという。

東京のコースはタイトだと評価されるが、ドッズCEOによると2024年がうまくいったので変更は少しにとどめる。「2024年の東京E-Prixはオーバーテイクが約200回あった」そうだ。オーバーテイクが多いのは、最近のF1にはない特徴だ。予選から決勝までを1日で終わらせるパッケージになっているのも、他のメジャーなモータースポーツでは見られない。

●ファンは男女半々、40歳未満も半数
もっともドッズCEOは「フォーミュラEはF1と比較されるが、違った形のスポーツだ」と語る。ファン層が異なり、男女比がほぼ半々、年齢層でも40歳未満が半分を占めているという。「フォーミュラEは最もサステイナブルなモータースポーツだ。自動車のBEV転換を後押している。最初にシーズン当時、EVのグローバル販売台数は年間50万台に満たなかった。現在は年間1500万台を超える勢いだ」。

●FIA公認の最速シングルシーターレーシングカー
EVの台数増加はEVの性能向上と同時進行で、フォーミュラEマシンも性能が向上している。フォーミュラEでは全チーム同じシャシーを用いており、最初の「GEN1」マシンは最高速度225km/hで、バッテリーはレースの半分しか持たなかった(レース中に交換)が、現在の「GEN3 Evo」の最高速度は320km/h、もちろんバッテリーはレース全部を走り切れる。

GEN3 Evoは、0-96km/h(0-60 mph)加速がわずか1.82秒で、FIA公認のシングルシーターレーシングカーとしては最速、加速性能では現行のF1マシンを30%上回る。また、回生用の前輪モーターを活用した四輪駆動でもある。最高出力は350kW。2026/27年シーズン投入予定でテスト中の「GEN4」は600kWに達する。

ターン2と3の間。東京 E Prix 2024ではジャンピングスポットだった (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン5から6(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン5から6(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 画面奥のターン6を右折して、手前のターン7を左折、画面右手へ。むろん一時停止は不要(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン7を左折、ここから公道(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 画面中央のターン6を右折、画面一番手前のターン7を左折、画面右のターン8を左折、ストレートヘ。4階建てのビルは都バスの営業所《写真提供 フォーミュラE》 画面奥のターン7を左折、画面手前のターン8を左折、ストレートヘ(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 画面左から出てきてターン8を左折、画面右奥のターン9へ向かう(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン8から9へのストレート。画面左は都バスの営業所、奥は首都高速湾岸線(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン9。レーシングコースは都バスの反対車線、進行方向は画面左から右(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン9から10へのストレート。進行方向は画面左から中央奥へ。コース(向かって左)準備のため分離帯が移設されている(5月11日)《写真撮影 高木啓》 画面左から右へ、ターン10(右)〜ターン11(左)のシケインはこのあたり(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン10〜11のシケインに入ろうとしているところ(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 画面右から手前へ、ターン12を左折。上空はゆりかもめの引き込み線(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン12を左折して、画面左奥のターン13へ向かう《写真提供 フォーミュラE》 ターン13(画面手前)〜ターン14(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン13。上空はゆりかもめの引き込み線(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン14。コースは左側の車線、進行方向は画面左から中央奥へ(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン14。進行方向で撮影(5月11日)《写真撮影 高木啓》 画面左からきて、ターン15を左折、画面奥へ(5月11日)《写真撮影 高木啓》 画面左からきて、ターン15を左折、画面奥へ(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン15を抜けたストレート。ふだんは駐車場アクセス道路(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン16への進入。東京 E Prix 2024では左右左のシケインだった(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン16。進行方向で撮影(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン16。進行方向は画面右奥から左手前(5月11日)《写真撮影 高木啓》 画面右奥のターン16からターン17を右折、画面左奥のターン18へ(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ターン17。この付近から駐車場(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ターン18(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 ホームストレート。進行方向は画面右から左。グランドスタンドは設営前で、ピットが見える(5月11日)《写真撮影 高木啓》 ホームストレート(東京 E Prix 2024) (c) Formula E《写真提供 フォーミュラE》 東京 E Prix 2025コース《画像提供 フォーミュラE》 フォーミュラE GEN3 Evo《写真撮影 高木啓》 フォーミュラE GEN3 Evo《写真撮影 高木啓》