トヨタ・アクア《写真提供 トヨタ自動車》

2050年にカーボンニュートラルを達成する国際的な取り組みが進んでいる。グランプリ出版が『自動車用動力源の現状と未来』を発売した。著者は長年にわたり自動車技術を取材してきた著者・飯塚昭三。今後の自動車動力源のあり方を分かりやすく伝える。

CO2の排出削減に向けて、日本は世界に先駆けてハイブリッド技術の普及などで対応してきた。走行中にCO2を排出しないEVは注目されているものの技術的課題があり、当面は内燃エンジンのさらなる熟成や燃料の改良も重要だ。

自動車はすでに140年以上の歴史があり、性能は格段に向上した。動力系では内燃エンジンが長足の進歩をして、熱効率が半世紀前の倍以上になった。電動系では航続が大きく伸び、EVも普及しつつある。本書では、技術の発達を振り返りながら、動力源のカーボンニュートラル化、高効率化への取り組みを紹介する。

カーボンニュートラルについては、すでに自動車業界は取り組んでいる。内燃エンジンでのCO2削減は熱効率の向上と同義でもあり、著者はストイキ燃焼、希薄燃焼、HCCIなどの技術を注目の技術として挙げている。化石燃料を使う限りCO2の排出をゼロにはできないが、燃料の種類によってはカーボンニュートラルは可能だとする。

電動化もカーボンニュートラルだが、電池性能などに困難な面がある。内燃エンジンをEVに置き換えるためには、電池のエネルギー密度がケタ違いに向上しなければならないが「その手立ては今のところない」と著者は言う。そして自動車の動力源の今後は、「電動化が進むいっぽうでエンジンは2050年まで存続し、その後もずっと生き続ける」と考える。自動車購入の参考ともなる書だ。

トヨタ・アクアに搭載、バイポーラ型ニッケル水素電池《画像提供 トヨタ自動車》 トヨタ・アクアに搭載、バイポーラ型ニッケル水素電池《写真提供 トヨタ自動車》 マツダSKYACTIV-X。一部で希薄燃焼《写真提供 マツダ》 スバル・レヴォーグ《写真提供 SUBARU》 スバル・レヴォーグ用CB18型エンジン。一部で希薄燃焼《写真提供 SUBARU》 スバル・レヴォーグ用CB18型エンジン。一部で希薄燃焼《写真提供 SUBARU》 『自動車用動力源の現状と未来』《発行 グランプリ出版》