駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》

ジェイアール東日本都市開発とWHILLは2月18日、ジェイアール東日本都市開発が運営するJR市川駅直結のショッピングセンター「シャポー市川」(千葉県市川市)において近距離モビリティ『WHILL』(ウィル)を無料でレンタルできる「WHILLモビリティサービス」を開始した。


◆高架下のショッピングセンターは細長い 
ウィルは免許不要で乗車でき、歩行領域を走行できる近距離モビリティ車両だ。既存の乗り物では電動車いすやシニアカーが近いが、ウィルは歩行者の支援、行動範囲の拡大に用途をおく。シャポー市川に配置される「モデルC2」は5cmの段差乗り越え、後輪を軸にその場で一回転できる小回り能力、リアサスペンションを採用した滑らかな乗り心地などを特長とする。

シャポー市川を運営するジェイアール東日本都市開発の執行役員ショッピングセンター事業本部営業部長柳澤美香氏は、導入の背景について「鉄道の高架下に施設を設けるので、必然的に敷地が細長くなり、それに伴って利用者の移動距離が長くなる。施設内の移動を支援する手段があると喜ばれる」と説明する。

WHILL社法人レンタル事業本部の杉浦圭佑本部長はウィルの導入について「ウィルを毎日使う必要まではないが、広いショッピングセンターや広い観光地をずっと歩いて回る元気はない、という人がいる。そういう人が外出先で、オンデマンドでウィルに乗ってもらうニーズが増してきた。外出を控えていた人が外出するようにもなる」と説明する。すでに自宅付近で近距離モビリティ車両を使っていて、外出先でも使いたい、というケースも増えてきたという。

◆みんないっしょに同じペースで
ウィルの導入により、高齢化や多様化が加速する中、館内で誰もが快適に買い物をできる形を提案する。「歩行者」扱いのウィルを利用することで、同行全員が同じ移動ペースで買い物できるようになり、全員が「優しい」移動や買い物を体験できるようになる。

ジェイアール東日本都市開発の柳澤執行役員は導入の理由について「3つのポイントがある。ひとつが、こういった屋内施設でも運用できるモビリティであること。次に、操作が簡単で、歩いてる人と同じようなスピードで動かせること。そして機体がコンパクトなこと。施設内に置いても違和感がなく、支障もない」と語った。

またジェイアール東日本都市開発が運営するショッピングセンターは複数あるが、シャポー市川に導入された理由について柳澤執行役員は「市川駅はホームが複数あり、従ってシャポー市川内の通路幅に余裕があること、また、乗り換え駅ではなく、買い物を目的としない歩行者と交錯しないこと、など」をあげる。シャポー市川での実績をもとに、他の施設にも展開される可能性がある。

◆ウィル貸出し用アプリ「WHILL Rental」で貸出し
WHILLモビリティサービスでは、DX推進の一環として「アプリ」でウィル機体を貸出すこともできる。スマートフォン端末にウィル貸出し用アプリ「WHILL Rental」をダウンロードしてアカウント登録すると、ウィルを気軽に利用できるようになる。貸出し・返却の手続きは全てアプリを介して行ない、施設側のスタッフは技術的には不要になる。シャポー市川はアプリ利用施設の2例目、ショッピングセンターでは初めてだ。

貸出し時は、利用する機体と利用プランを選択して決済完了した上、機体に貼付されたQRコードを読み取ることで機体を解錠し、利用を開始する。使用中にアプリからの施錠も可能で、お手洗いや買い物など、機体から一時的に離れることもできる。利用終了時は貸出し場所に機体を戻し、アプリで返却手続きする。

WHILL Rentalアプリのマップ上にはウィルを借りられる施設や場所、利用できるウィルのモデルや貸出し方法が表示され、旅行や外出先におけるWHILLモビリティサービスの有無を事前に調べることができる。なおマップには、アプリを使わない有人貸出し箇所の情報も表示される。

◆アプリで無人貸出しにする利点
アプリ導入には大きな利点がある。無人で機体の貸出しができるため、貸出し場所の位置に自由度が大きいのだ。有人のインフォメーションカウンターなどの立地に影響されず、ユーザーにとって利便性の高い場所に貸出し場所を設置できるわけだ。

WHILL社の杉浦本部長は「有人貸出しだと、例えばインフォメーションセンターなどは施設の中央付近にあることが多く、そこまで行く必要がある。無人貸出しにしたことで、スペースさえあればレンタル場所に設定できる。今後の話にはなるが、シャポー市川だったら駅の改札口、東西の出入り口、ユーザーの動線を調べて設置できる」と無人貸出しの利点を説明する。施設側にとっては貸出しオペレーションを省力化し、その分のリソースを顧客の体験価値向上に注力できる。

ジェイアール東日本都市開発の柳澤執行役員によると、「シャポー市川の利用者はアプリに慣れている人が多い」そうで、それもシャポー市川でのウィル導入の理由のひとつだ。

なおWHILLモビリティサービスは、ウィルを施設内外に導入できる法人向けサービスだ。保険、メンテナンス、機体管理システムをパッケージ化して、運営者の導入負担を軽減するとともに、導入先の環境に対応した体制も整える。

◆先行導入で好評
シャポー市川では2024年6月に実証実験を行ない、ユーザー、テナント双方より好評だったことから、本格導入に至ったという。

ジェイアール東日本都市開発の柳澤執行役員は、「実証実験時のアンケートでは、回答したユーザー全員が『また利用したい』と答えたほか、半数超がウィルを借りたことで『普段(の買い物)より多くの場所を回れた』とし、回遊性の向上につながることがわかった。また、シャポー市川の70%超のテナントが『ウィルのようなモビリティがあれば、新たな客層に来店してもらえそうだ』と答え、新規客の獲得に期待を寄せた」と語る。

シャポー市川にはモデルC2が2台配置され、利用可能時間は10時30分〜17時00分、利用料金は無料。利用条件として体重115kg以下、着座で足おきに足がつく、操作に必要な注意力などを備える、など。

ウィル・モデルC2《写真撮影 高木啓》 駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》 駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》 駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》 駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》 駅直結ショッピングセンターのシャポー市川で近距離モビリティ『WHILL』の無料レンタル《写真撮影 高木啓》 ウィル貸出し用アプリ「WHILL Rental」《写真撮影 高木啓》 アプリのマップ《写真撮影 高木啓》 機体のQRコードを読み込み、開錠する《写真撮影 高木啓》 開錠《写真撮影 高木啓》 シャボー市川の貸出場所、地下1階「たべるば」前《写真撮影 高木啓》 ウィル・モデルC2《写真撮影 高木啓》 ウィル・モデルC2《写真撮影 高木啓》 ウィル・モデルC2《写真撮影 高木啓》 WHILL社の杉浦本部長(向かって左)とジェイアール東日本都市開発の柳澤執行役員《写真撮影 高木啓》 市川駅《写真撮影 高木啓》