タカラトミー『トミカ』55周年事業 (c) TOMY《写真提供 タカラトミー》

タカラトミーが展開するダイキャスト製ミニカー『トミカ』は、今年2025年に55周年を迎える。タカラトミーは1月21日、「トミカ55周年事業」を発表した。自動車メーカーとのコラボや、オーナーズミーティングが企画され、2月から順次、展開される。

記念プロジェクトとして、自動車メーカー5社が協力する「トミカ55周年自動車メーカーコラボプロジェクト」が始動し、新製品シリーズとしては「トミカ・プラレールブロック」や、大人向けプレイセット「tomica+」が発売される。また55周年ファン感謝祭「TOMICA OWNERS MEETING」の開催も企画されている。さらにTV番組『トミプラワールド のりのりタイムズ!!』も放映予定で、MCは小島よしお、佐藤和奏が務める。


◆コロナ禍で祝えなかった50周年
トミカは3世代にわたって愛されるロングセラーブランドになった。55周年事業は、トミカのブランドメッセージ「本物は、ときめく」をテーマに、今までのすべてのファンへ感謝を込めて、子どもも大人も“心からときめく”企画になるという。

タカラトミー事業統括本部ブランドビジネス本部の竹内俊介執行役員は記者会見で「2020年のトミカ50周年は、コロナ渦により様々なイベントが中止となり、ファンの皆様に感謝をお伝えすることができなかった。2025年に55周年を迎え、改めて感謝を伝える場を作れた。初めてトミカに触れる子どもや遊び心を持つ大人=Kidults(キダルト)へ、そして日本だけでなくアジア各地域へ向けてもトミカの魅力を発信していく」とコメント。

また竹内執行役員は「55周年ではファンコミュニティの場を設けたい。これまで子どもに向けてはトミカ博というイベントがあったが、大人やコレクターにはそういったコミュニティの場がなかった。子どもから大人まで、ファンにとって身近なブランドをめざす」ともコメントしている。

◆メーカーのデザイナーが実車をデザイン、トミカにする!
トミカ50周年に実施した「自動車メーカーコラボプロジェクト」企画の第2弾として、普段は実車のデザインを担当している自動車メーカーのデザイナーに、トミカのために専用の55周年グラフィックデザインを考えてもらった。トミカの中でも人気の高い車両に合うデザインを、各社の社内コンペで決定したそうだ。

グローバルトミカ事業室トミカ事業部ブランドマーケティング課の吉原有也課長は、「55周年はパワーアップしたコラボレーションにしたい。50周年は3社とのコラボだったが、今回は5社とのとコラボになる。それぞれの自動車メーカーのデザイナーが、55周年を記念するトミカをイメージして、各社の代表車両をベースに本気でデザインした。そのデザインでラッピング車両を製作し、トミカとしても発売する」と説明。

自動車メーカーは、50周年企画に協力したトヨタ自動車、日産自動車、本田技術研究所に、今回は三菱自動車工業、スズキも加わった。トヨタ自動車でデザインを担当したのは、トヨタ自動車グループの国内デザイン拠点のひとつであるテクノアートリサーチ、また本田技術研究所は、本田技研工業のR&D部門を担当する子会社だ。

トミカの商品ラインアップはトヨタ『GRスープラGT4EVOトミカ55周年記念仕様』、日産『フェアレディZNISMOトミカ55周年記念仕様』、ホンダ『シビックTYPE Rトミカ55周年記念仕様』、三菱『デリカミニトミカ55周年記念仕様』、スズキ『ジムニー・トミカ55周年記念仕様』。

2025年春から順次商品の発売を開始する。希望小売価格:各990円(消費税込)。それぞれのデザインでラッピングされた実車もトミカ博などでお披露目する。商品発売時期および実車両の展示については後日トミカ公式ウェブサイトで発表される。

◆55周年イヤーを盛り上げる新製品
トミカ「プラレール」と一緒に遊べるブロック「トミカ・プラレールブロック」シリーズや、大人向けプレイセット「tomica+(トミカプラス)」シリーズを新展開、「トミカワールド」シリーズ最長のロングセラー商品である「トミカビル」の最新作「グランドモールトミカビル」も登場する。

●New Item:グランドモールトミカビル
「グランドモールトミカビル」は、ブランドビジネス本部グローバルトミカ事業室の流石正室長が「55周年記念商品のフラッグシップモデル」とアピールする新製品であり、「トミカワールド」シリーズ最長のロングセラー「トミカビル」の最新作だ。巨大ショッピングモールを舞台にトミカの大量駐車を楽しめる。流石室長は「トミカビルは1971年から今日まで、トミカの遊びがぎゅっと詰まったプレイセットの象徴として進化してきた」と語る。

新製品は巨大なモールをデザインしており、エレベーターによりトミカが立体駐車場へ螺旋を描いて登っていくシーンを再現できる。2025年7月に発売予定、希望小売価格は9350円(消費税込)。

●For Kidults:tomica+(トミカプラス)を新たに展開
2015年から展開している“大人のためのトミカ”が「tomica」ブランドだ。1970年発売当初のトミカ箱に記載されている小文字で表現された「tomica」をブランドロゴとして使用している。このtomicaから、ミニカーを輝かせるプレイセットシリーズが誕生する。

ミニカーファンの心を震わせる、新しい価値をプラスする「tomica+(トミカプラス)」シリーズの登場だ。第1弾としてトミカをレイアウトできるガレージ「tomica GARAGE」を、第2弾としてドリフト走行を楽しめるターンステージ「トミカプレミアムunlimited DRIFT TURN STAGE」を発売する。

tomica GARAGEはトミカを飾るガレージだ。操作パネルをタッチすると、電動シャッターが本物のようにゆっくりと開閉。ガレージのシャッターが開き終わると同時に室内の照明が点灯する。「OREMIUM BLACK Edition」と「Lamborghini Edition」の2種を展開し、それぞれ「トミカプレミアム」(ミニカー)1台と壁面、床面をコーディネートできる内装デザイン紙が付属する。発売日は2月15日、希望小売価格は各6600円(消費税込)。

トミカプレミアムunlimited DRIFT TURN STAGEは、白煙を上げながらトミカがドリフト走行するターンステージ。スキール音やBGMの打ち込みサウンド、7色のLEDで臨場感を演出する。「頭文字D」と「ワイルド・スピード」の2種を展開し、それぞれ「トミカプレミアムunlimited 」(ミニカー)が1台付属する。白煙はミスト(霧状の水)で再現している。既存のどのトミカでもドリフトは可能だ。発売日は3月15日、希望小売価格は各6600円(消費税込)。

●For Kids:トミカ・プラレールブロック初登場
トミカ、プラレールからブロックが初登場。3歳から1人で遊べる入門ブロックが「トミカ・プラレールブロック」シリーズだ。ブロックを組み替えてオリジナルビークルも作れる。トミカのブロックには、サスペンションなど各車に1アクションがつく。トミカのブロックはトミカタウン(道路)の上を走らせることができ、プラレールのブロックはプラレール車両と連結させたり、青いレールの上を走らせることができる。3月15日に発売、希望小売価格は単品シリーズが990円(消費税込)から、エントリーセットは4950円(消費税込)だ。

◆55周年ファン感謝祭「TOMICA OWNERS MEETING」
トミカ開発者などが登場するトークショーや、ジオラマ、トミカヒストリーの展示、“大人の工場見学”など、幅広い世代の人が楽しめる感謝祭、「TOMICA OWNERS MEETING」を2025年12月に開催予定。参加方法など詳細については後日トミカ公式HPで発表される。流石室長は「55周年の集大成となるイベント。今まであまりやってこなかったような、趣向を凝らした企画を詰めている」と期待させる。

◆新番組『トミプラワールド のりのりタイムズ!!』開始
番組MCに子供に大人気のお笑いタレント、小島よしおとタレント佐藤和奏を起用し、“実車両の乗り物”と“おもちゃ”が連動した、のりもの情報キッズバラエティ番組『トミプラワールド のりのりタイムズ!!』を2025年4月からテレ東系列6局ネットで放送する。番組内では、ウェブで好評配信中のアニメ『トミカヒーローズジョブレイバー特装合体ロボ』が地上波で初登場する。

◆1.8秒に1台売れている!
トミカは1970年8月16日に、日本初の手のひらサイズの国産車ダイキャスト製ミニカーとして発売された。外国製のミニカーが全盛だった当時、「日本の子どもたちに、もっと身近な国産車のミニカーで遊んでもらいたい」という想いで誕生したという。最初のラインナップはわずか6台。

現在までに、タカラトミーグループから発売したトミカシリーズは、国内外累計1万種以上の車種を発売、累計販売台数は10億台(2024年12月時点)を超えた。1970年の発売からの約55年で、およそ1.8秒に1台売れている計算だ。ちなみにトヨタ自動車のグローバルでの生産累計台数が1935年から2023年の88年間で3億台となっている。

なおトミカの10億台という数字は、トミカ(スタンダードシリーズ)、「ドリームトミカ」、「トミカプレミアム」、「トミカリミテッドヴィンテージ」などのシリーズ合計で、「トミカワールド」などダイキャスト製ミニカー以外の商品は除く。トミカ(スタンダードシリーズ)のみでも、国内外累計1190種以上の車種が発売され、累計販売台数は7億5900万台以上になる。

竹内執行役員は、成長するために様々な挑戦を行なってきたと言う。「ひとつ目は、自動車メーカーに協力を依頼し、ラインナップの増強を図った。ふたつ目は、大人需要の拡大に合わせて、キダルト向けのラインナップを拡大した。みっつ目として、トミカ博では、イベント会場でしか遊べない新しい商品を展開した」。

近年ではスタンダードシリーズに加え、人気キャラクターやコンテンツとコラボレーションした「ドリームトミカ」シリーズや、“大人のためのトミカ”「トミカプレミアム」シリーズなどラインアップを拡大している。その他、大人向けブランド「tomica」のライセンス展開や、トミカ最大級のイベント「トミカ博」の実施、さらにトミカ専門店「トミカショップ」の展開に加え、今年2024年9月には初の海外オフィシャルショップ「TOMICA BRAND STORE(トミカブランドストア)」を中国上海市にオープンするなど商品以外の展開も広げている。

日本国内での販売取扱場所は玩具専門店、百貨店・量販店の玩具売り場、トミカ専門店「トミカショップ」、インターネットショップ、タカラトミー公式ショッピングサイト「タカラトミーモール」など。

◆56年目からのトミカはどうなる?
ブランドマーケティング課の吉原課長は、トミカの55年間変わらない良さを、「サイズや、踏んでも大丈夫といった安全性・品質は変わっていない。選べる楽しさも変わっていない。好きなトミカが必ずある」と言う。トミカは3世代で楽しむ商品になった。「世代間のコミュニケーション商品だ。物単体の魅力だけではなく、そこからから広がる楽しさ、ひもづく楽しさがある」。

いっぽう今後変えるべきこととしては「すでにやっている。それは今、トミカに触れていない人に興味を持ってもらうこと。例えばキダルトコレクションの展開だ。大人にとっても子どもにとっても、楽しさの本質は変わらない。新製品を提案して、トミカをより深く好きになって欲しい。ただトミカとしては、精密さを追求するのではなく、おもちゃらしいギミックを訴求したい。tomica+ブランドもそういった提案だ」と述べる。

実物の自動車の市場では“若者の車離れ”が取り沙汰されている。幸いにして“子どものトミカ離れ”はないようだが、自動車が100年に一度と言われる変革期にあるのに対して、トミカはどうなっていくのか。吉原課長は「トミカは車の世界への入り口。遊びを提供することで、子どもは車を好きになる。トミカはこれまでも本物の自動車の発展に対応した商品を提供してきた。ただし、本物の自動車とトミカでイコールにする必要は必ずしもない。トミカだからできることがある。自動車メーカーとのコラボも色々できるだろう」と語った。

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