メルセデスベンツがカスタマイズプログラム「MANUFAKTUR」拡大《photo by Mercedes-Benz》

メルセデスベンツは、高級車のカスタマイズプログラム「MANUFAKTUR」を戦略的に拡大すると発表した。同社のドイツ・ジンデルフィンゲン工場を拠点に、顧客の要望に応じた高度なカスタマイズを実現する取り組みだ。

MANUFAKTURプログラムは、メルセデスベンツ、メルセデスAMG、メルセデスマイバッハの一部モデルを対象に、標準オプションを超える特別な素材、色、仕上げを提供する。新たに「MANUFAKTURスタジオ」が開設され、顧客が自身の車両のカスタマイズ過程を直接体験できるようになった。

このスタジオでは、革新的なマトリックス生産方式を採用し、モデルに関係なく1日最大20台の車両を柔軟にカスタマイズできる。自動運転搬送システム(AGV)を活用し、9つの生産クラスター間を効率的に移動させることで、顧客の要望に応じた設備を効果的に取り付けられる。

さらに、新たな塗装技術「PixelPaint」も導入された。インクジェットプリンターの原理を応用したこの技術により、車体に直接高品質な塗料を精密に塗布できる。これにより、顧客の要望に応じた複雑なパターンや多色塗装が可能となった。

メルセデスベンツは、2025年から『Sクラス』に新たなMANUFAKTUR専用カラーやオプションを追加する予定だ。同社の旗艦モデルであるSクラスを通じて、MANUFAKTURプログラムの幅広いカスタマイズ能力を示す狙いがある。

MANUFAKTURプログラムは顧客から高い支持を得ており、2024年上半期には高級セグメントの販売車両の30%以上を占めた。この人気を受け、メルセデスベンツはSクラスを含む他のモデルへのプログラム拡大を目指している。

同社は、この取り組みを通じて伝統的な職人技を継承しつつ、最新のデジタル技術や人工知能を活用することで、高級車製造におけるシンデルフィンゲン工場の役割を一層強化していく。顧客の個別ニーズに応える高度な個別化サービスにより、高級車市場での競争力を維持・向上させることを目指している。

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