
京都で開催された「ドゥカティ ブランド ナイト」にて、新型『スクランブラー』が日本初お披露目された。昨年11月のドゥカティ・ワールドプレミア2023で発表されて以来、待ち焦がれていたファンも多いことだろう。
ラインナップには「アイコン」「フルスロットル」「ナイトシフト」の3機種が名を連ねるが、今回のイベントでは、急遽本国から取り寄せたベースグレードのアイコンのみを展示。日本初公開ということで観客からも熱い視線を浴びていた。
◆ドゥカティのサブブランドになるほど人気、『スクランブラー』シリーズの成り立ち
スクランブラーとは元々はオンロードバイクをオフロードでも走れるように改造したバイクのこと。現在では人気のカテゴリーになっているが、ドゥカティでは早くも1970年代にそのネーミングを持つ元祖モデルを世に送り出していた。これをオマージュして2015年に復活したのが現在のスクランプラー・シリーズである。
当初はモンスター796系の空冷Lツインを搭載した「アイコン」から始まりバリエーションを拡充。400ccや1100ccクラスも投入するなどエントリー層から走りにこだわるベテランまで幅広いニーズに応えるドゥカティのサブブランドとしての地位を確立した。
◆より洗練された2023年モデル! 完全新設計で外見も中身も別物に
さて2023年モデルのスクランブラーは伝統の空冷Lツインやトレリスフレームなど基本構成を受け継ぎつつ、完全新設計となっている。まずデザインが刷新された。新形状の燃料タンクやXシェイプのLEDヘッドライトが特徴で、メーターも4.3インチカラーTFTディスプレイを初採用。
シート形状も見直され全体的によりスリムで軽快なデザインに。ハンドルバーもやや低めにセットされライポジもよりスポーティに振った感じだ。そして、今回展示された「アイコン」のチャームポイントはカラーパーツを交換して楽しめること。ヘッドライトカバーや前後フェンダー、タンクカバーなどがアクセサリーキットとして別売されていて、まるで服を着替える感覚で異なるスタイルを楽しめるわけだ。
スクランブラーの専用ホームページで“試着”してみたが、想像以上にガラッと雰囲気が変わって新鮮だ。ちなみに標準カラーの「’62 イエロー」「スリリング・ブラック」「ドゥカティ・レッド」に加え異なる6色がキットとして用意されている。
◆エンジンはトルクアップで扱いやすく、電サスと電子制御で安全にライディングを楽しめる
エンジンについてはスペック的には最高出力73ps、最大トルク6.7kgmと従来モデルを踏襲するものの、最大トルク発生回転数を大幅に高めることで高回転域での伸びやかな加速を実現。重量もエンジン単体で2.5kg軽量化された。実車を見ると、エキゾーストの取り回しも変更されてスッキリとしたサイドビューに。クラッチハウジングやタイミングベルトカバーのデザインも異なるなど細かな変更点も多い。フレームも軽量化しつつスイングアームやホイールデザインも刷新された。
また、足まわりは前後KYB製のサスペンションでフロントにφ41mm倒立フォーク、リヤには直押しタイプのプリロード調整付きモノショックを採用している。従来モデルは車体左側にマウントされていたが、新型ではセンター部に改められている。ブレーキは前後ブレンボ製でフロントに4ポットラジアルマウントキャリパー/シングルディスクを採用するなど足まわりも強化。車重も185kgとトータルで4kg軽量化されたことも見逃せないポイントだろう。
電子制御も大きく進化した。ライド・バイ・ワイヤ化によりドゥカティ由来のシステムが投入され、2つのライディングモード(Road/Sport)に4段階のDTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)やボッシュ製コーナリングABSが標準装備されるなど安全性も大幅に向上。またオプションでアップ&ダウン対応のクイックシフターやドゥカティ・マルチメディア・システムも装備可能となっている。
実車を目の前にしての率直な感想だが、写真で見るよりもカッコいい。どこから見てもスクランブラーなのだが、より現代的なセンスでまとめられていて車格がワンランクアップした感じだ。なお、新型スクランブラー・シリーズには今回お披露目された「アイコン」の他、フラットトラックレーサーをイメージしたアグレッシブな「フルスロットル」および、全体をブラックで統一したシックなカフェレーサースタイルの「ナイトシフト」を含め3つのバリエーションモデルが用意されている。日本での発売予定は2023年秋頃を予定しているとのこと。個性的でスタイリッシュなニューマシンが颯爽と街を駆け抜ける日が楽しみだ。





















