トヨタ自動車の2023年3月期決算説明会《写真提供 トヨタ自動車》

トヨタ自動車が2023年3月期連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高は前期比18.4%増の37兆1542億円、最終(当期)利益は14.0%減の2兆4513億円。また、24年3月期の業績予想は、売上高が2.3%増の38兆円、営業利益は10.1%増の3兆円、最終利益は5.2%増の2兆5800億円を見込んでいるという。

◆各紙の表現に温度差
きょうの各紙にも、トヨタの決算の内容を伝える記事を1面や経済面などに書き分けながら詳しく報じているが、その伝え方には、微妙な温度差も読み取れる。

まず、1面で大きく取り上げたのは、読売、朝日、日経の3紙。いずれも「トヨタ、営業益3兆円」とのタイトルで、「実現すれば日本企業で初めてとなる」とも伝えている。

毎日と産経は2面で報じたが、毎日は「トヨタ4年ぶり減益」との見出しで、原材料価格の高騰が重しとなり、4年ぶりに最終減益となったことを強調。産経は「トヨタ売上高最高37兆円」として、23年3月期の売上高が過去最高を更新したことを中心に取り上げている。

また、東京を除く各紙が、関連記事を経済面などに掲載しているが、電気自動車(EV)関連の新たな投資計画も公表した関係で、読売は「トヨタ、稼ぐ力底上げ、逆風下EV投資も着々」。朝日は「半導体不足改善 1010万台計画、新興国にHV、利益でEV投資」。さらに、日経も「トヨタ、EV投資5兆円、160兆円競争の世界追う」として、従来計画から1兆円を積み増すことを取り上げた。

◆佐藤社長が出席
この日の決算発表には、4月に就任した佐藤恒治社長が出席したことで、毎日は「トヨタ社長、3年ぶり決算出席」として、「大変難しい1年だった」と前期を振り返ったコメントをタイトルに掲載した。

産経は「トヨタ社長EV試練、中国に遅れ、米市場は難題」との見出しで、「ダイハツ工業などグループ企業で相次いで発覚した品質を巡る不正問題にも直面し、佐藤恒治社長にとっての初年度のかじ取りは楽観できない」とも。

そして、日経も「トヨタ佐藤社長初の決算発表」との関連記事で、決算発表に先立ち、佐藤社長が登壇し、一礼しながらダイハツの不正問題について「不正が起きる環境を変えていくことが大切だ」などと述べたことを解説。最後に「サプライチェーンが拡大する中でも、品質管理や法令順守を徹底する姿勢が求められている」と指摘している。

丁寧なのか、回りくどい説明なのかはともかく、トヨタの決算発表と質疑応答の時間は、予定を30分近くオーバーする1時間40分のロングラン会見だった。

2023年5月11日付

●「保釈中GPS」成立、改正刑訴法、海外逃亡を防止(読売・1面)

●トヨタ営業益3兆円へ、24年3月期予想、日本企業で初(読売・1面)

●日本製鉄、九州・八幡に電炉検討、30年までに、瀬戸内・広畑も(読売・8面)

●「日本人も海外旅行へ」観光庁などPR、旅行客コロナ前の3割(朝日・9面)

●パナ楠見体制変革探る、EV電池など注力増収増益、3月期(朝日・11面)

●センチュリー購入、山口県が逆転勝訴、広島高裁判決(朝日・27面)

●KDDI回線利用拡大、楽天G、数千億円の投資抑制(日経・1面)

●日産2000億円調達、みずほFGが連覇、23年1〜3月期債券部門ランキング(日経・6面)

●マツダ、75%増益、前期最終、円安で上振れ、5円増配(日経・17面)

トヨタ自動車の2023年3月期決算説明会《写真提供 トヨタ自動車》