市販スピーカーの一例(カロッツェリア・TS-C1736Sll)。当機は適応車種がある程度限定されている分、配線用の付属パーツも比較的に充実している。Photo by カロッツェリア

昨今、カーオーディオユニットを自分で付けたいと考えるドライバーが増えている。当連載では、そのように思うドライバー諸氏に向けて、DIY作業の勘どころを解説している。今回も前回に引き続き、スピーカー交換を行う際の“配線作業のコツ”を説明していく。

さて前回は、純正スピーカーがフルレンジタイプ(ドアのスピーカーだけで低音から高音までを鳴らしきるタイプ)である場合の“配線作業のコツ”を説明した。対して今回は、純正スピーカーが「セパレート2ウェイタイプ」の場合について解説していく。

まず前提として、純正スピーカーが「セパレートタイプ」の場合、純正配線の状況が車種ごとで異なる部分がいろいろとあり、配線方法も異なる箇所がさまざま出てくる。

ちなみに配線作業をスムーズに行いやすい市販スピーカーはズバリ、「車種専用モデル」だ。これらの多くは、対応車種の配線状況も踏まえて配線作業を実行しやすくなっていることが多い。

対して、取り付けるスピーカーが汎用品の場合は細かな注意点は車種により異ってくる。ただし、共通する重要なポイントが1つある。

それは、「フルレンジの信号をどこから取るか」だ。交換するスピーカーが「セパレート2ウェイスピーカー」であっても「フルレンジスピーカー(コアキシャルスピーカー)」であっても、換えるスピーカーにフルレンジの信号を入力しないと音楽が低音から高音まで再生されない。

で、前回説明したように純正スピーカーがフルレンジタイプなら状況はシンプルだ。ドアのスピーカーのところまでフルレンジの信号が流れているからだ。しかし純正スピーカーが「セパレート2ウェイ」の場合には、ドアスピーカーのところには中低音の信号しか来ていないこともある。

なお、交換する市販スピーカーが「セパレート2ウェイ」の場合には、音楽信号の帯域分割を行うパーツである「パッシブクロスオーバーネットワーク(以下、パッシブ)」が付属されている。なので配線作業においては、これにフルレンジの音楽信号を入力し、ここから高音信号をツイーターへと、中低音信号をミッドウーファーへと配線すれば良い。で、ドアのスピーカーにフルレンジの信号が流れて来ていれば、この「パッシブ」をドア内部に設置すればOKだ。

しかしそうでない場合には、フルレンジの信号はメインユニット裏側から取るともろもろをシンプル化できる。「メインユニット」からはフルレンジの信号が出力されている場合が多いので、どの配線がフロントスピーカーのものなのかを見極められれば、その出力を「パッシブ」に接続しよう。なお「パッシブ」をどこに設置するかは悩みどころとなる。これが小型であれば「メインユニット」の裏側に収まることもあるが、そうでなければダッシュボード内のどこかにスペースを見つけて設置する。スペースがなければ「パッシブ」の置き場は、シート下が有力な候補となる。

ところで、純正のメインユニットの裏側にアクセスするのは簡単ではない。これについての解説は、回を改めて行う予定だ。

今回は以上だ。次回以降もカーオーディオアイテムの取り付け作業について説明していく。お楽しみに