決勝レース2位でGT500クラスチャンピオンを獲得した#12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)《撮影 益田和久》

栃木県・モビリティリゾートもてぎで6日、SUPER GTの2022年シーズン最終戦となる第8戦が開催され、#100 STANLEY NSX-GTが優勝。#12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)は2位で、チームにとって27年ぶりとなるドライバーズチャンピオンを獲得した。

2022年の最終戦、GT500クラスのドライバーズチャンピオンを獲得する可能性を残して挑んだのは以下の5チーム。

#3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠):58p
#12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット):55.5p
#17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治):54p
#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐):41p
#37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋):38p

今大会では予選トップに1ポイント、決勝の優勝には20ポイントが加算され、最大21ポイントが獲得できる。なお決勝の2位以下は15、11、8、6、5、4、3、2、1ポイントと、10位までにポイントが与えられる。

昨年は最終戦で16ポイント差を逆転して#36 au TOM'S GR Supraの関口雄飛と坪井翔がチャンピオンを獲得しており、展開次第によってはSTANLEY NSX-GT(山本/牧野)やKeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)にも十分チャンピオンの可能性がある。その逆転チャンピオンに向け、STANLEY NSX-GT(山本/牧野)は前日に行われた予選でポールポジションを獲得。1ポイント差を縮めて決勝レースに挑んだ。

63周の決勝レースはきれいにスタートが切られたと思われたが、4番手スタートのCRAFTSPORTS MOTUL Z千代と6番手スタートの#8 ARTA NSX-GT野尻智紀が接触。ARTA NSX-GTはスピンを喫し最後尾に後退した。またCRAFTSPORTS MOTUL Zにはこの接触でドライブスルーペナルティが課され12位までポジションダウン。ランキングトップながらもチャンピオン争いがかなり厳しい状態となった。

10周目に多重クラッシュが発生。フルコースイエローとなり、その後セフティーカーが導入された。そのセフティーカーラン中にさらにクラッシュが発生。リスタートは21周目まで伸ばされた。この周でドライバーの最低乗車周回数がクリアされるため、21周終わりから続々とドライバー交代、タイヤ交換、そして給油のためのピットストップが始まった。

全車のピットストップが完了した38周目、ポールポジションからスタートしたSTANLEY NSX-GTの山本がトップをキープ。しかしセフティーカー前は約10秒つけていた差はなくなり、約1秒差で現在ランキング2位のカルソニック IMPUL Z平峰がつけていた。3位は#14 ENEOS X PRIME GR Supra山下健太で2位との差は1.5秒。4位にはランキング3位のAstemo NSX-GT塚越、そしてペナルティーで勝負権を失ったと思われたCRAFTSPORTS MOTUL Z高星が5位まで追い上げてきていた。

カルソニック IMPUL ZもAstemo NSX-GTもCRAFTSPORTS MOTUL Zも、STANLEY NSX-GTに続いて2位でフィニッシュすればチャンピオンが獲得できる。しかしAstemo NSX-GT塚越はペースが上がらず、51周目にCRAFTSPORTS MOTUL Z高星に抜かれ5位に転落してしまった。

残り12周、CRAFTSPORTS MOTUL Z高星はチャンピオン獲得に向け前を追った。2位カルソニック IMPUL Z平峰、3位ENEOS X PRIME GR Supra山下、4位CRAFTSPORTS MOTUL Z高星の3台はほぼ差がない状態でファイナルラップに突入した。しかし順位が入れ替わることなくチェッカー。STANLEY NSX-GTが今シーズン初優勝を飾り、カルソニック IMPUL Zが2位で平峰とバゲットがチームにとって27年ぶりとなるドライバーズチャンピオンを獲得した。

3位はENEOS X PRIME GR Supraで、ホンダ、トヨタ、ニッサンが表彰台を分け合う結果に。CRAFTSPORTS MOTUL Zは4位で惜しくも表彰台、そしてチャンピオンを逃した。

◆GT300クラスはファイナルラップでチャンピオン決定
GT300クラスは6チームのドライバーがチャンピオンの権利を持って最終戦に挑んだ。ランキングトップは#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)で52ポイント、2位が#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)で49.5ポイント、3位が#10 TANAX GAINER GT-R(大草りき)で46ポイントと、ここまでほぼ差がない。ランキング4位の#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(川合孝汰)はトップと15ポイント、#11 GAINER TANAX GT-R(安田裕信/石川京侍)は17ポイント、#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)は19ポイント離されており、逆転チャンピオンの可能性は残されているが、かなり厳しい状態だ。

ランキング2位のSUBARU BRZ R&D SPORTは予選でクラッシュ。なんと16番手スタートとなってしまった。さらにはエンジンに不調があり、決勝レースでも徐々に順位を下げ、チャンピオン争いから脱落してしまった。

ランキングトップのリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは前半戦6位を走行。全車のピットストップが終わった時点では前に2位の埼玉トヨペットGB GR Supra GT、3位のTANAX GAINER GT-Rに続く4位を走行しており、このままチェッカーを受けるとTANAX GAINER GT-R大草に2ポイント差でチャンピオンを獲得できる状況だった。

しかし40周目、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rのタイヤが脱落。ピットに戻り修復して復帰したが、大きく順位を落としてしまった。

これでチャンピオン争いは2位の埼玉トヨペットGB GR Supra GT川合と3位のTANAX GAINER GT-R大草の一騎打ちとなった。しかし後方から#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)が追い上げてきて、2台をオーバーテイク。これで埼玉トヨペットGB GR Supra GT川合はリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rのポイントに及ばなくなった。

TANAX GAINER GT-Rは#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)にも抜かれ5位に落ちていたが、この順位ならチャンピオンが獲得できる。しかし後方から#88 Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が迫ってきた。数周にわたり激しいバトルを繰り返したが、順位はそのままでファイナルラップに突入。そして2コーナーでWeibo Primez ランボルギーニ GT3が一気にオーバーテイクを決めた。その結果ランキングトップのポイントを逆転する者はいなくなり、トラブルで19位フィニッシュとなったリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波/オリベイラ)が2年ぶり2度目のチャンピオンを獲得した。

優勝したのは#55 ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織)で、今季初優勝を飾ったとともに、武藤、木村、両ドライバーにとってGT300クラス初優勝となった。2位は#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)、3位は#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)、以下#18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)、#88 Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)、#96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)と続いた。

■SUPER GT第8戦もてぎ、GT500クラス決勝結果(トップ10)
1. #100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)
2. #12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)
3. #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
4. #3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)
5. #17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)
6. #37 KeePer TOM'S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)
7. #19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南)
8. #8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)
9. #36 au TOM'S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ)
10. #38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)

■SUPER GT第8戦もてぎ、GT300クラス決勝結果(トップ10)
1. #55 ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織)
2. #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)
3. #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)
4. #18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/太田格之進)
5. #88 Weibo Primez ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)
6. #96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)
7. #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)
8. #10 TANAX GAINER GT-R(富田竜一郎/大草りき)
9. #7 Studie BMW M4(荒聖治/アウグスト・ファルフス )
10. #360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/田中篤/柴田優作)

GT500クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT500クラスで優勝した#100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)《撮影 益田和久》 GT500クラス3位の#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)《撮影 益田和久》 GT300クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT300クラスチャンピオンを獲得した#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)《撮影 益田和久》 GT300クラス優勝の#55 ARTA NSX GT3(武藤英紀/木村偉織)《撮影 益田和久》 GT300クラス2位の#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)《撮影 益田和久》 GT300クラス3位の#52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)《撮影 益田和久》 GT500クラススタートシーン《撮影 益田和久》 GT300クラススタートシーン《撮影 益田和久》 GT500クラスチャンピオン#12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)のピットシーン《撮影 益田和久》 GT300クラスチャンピオン#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)のピットシーン《撮影 益田和久》