KTM 1290スーパーデュークと小鳥遊レイラ(左)と丸山浩(右)《写真撮影 WITH ME》

今回はKTMのロードモデル最高峰シリーズの紹介だ。この『1290スーパーデューク』シリーズには3モデルがあって、Rは純スポーツネイキッド、GTはツアラー、そしてR EvoはRに電子制御セミアクティブサスなどを加えたハイパーネイキッドの決定版といったラインアップになっている。どれも1301ccの水冷Vツインを鋼管トラスフレームに搭載し、足まわりはしっかりしたWP製のサスという基本構成は同じだ。

そんな1290スーパーデュークシリーズ3車種に、プロレーサーの丸山浩氏と、「ことりちゃん」こと小鳥遊レイラが試乗。その魅力を語り合った。

馬力はハンパないけど実はスタンダードで扱いやすい
小鳥遊:どのモデルもスタイルが激しくて、乗り味も凄そうなんですけど…、基本となるRの馬力はなんと180psですよ! でも、これが意外な乗り味だったので、ちょっと驚きました。

丸山:馬力はハンパないんだけど、乗ってみると実はスタンダードで扱いやすいのが僕も意外だった。いきなりドーンと来るのではなくスルスルと加速してくれてくれるので、Vツインの滑らかな鼓動感を味わいながら飛ばさないツーリングを楽しむのにも向いているという感じ。22年モデルでライドバイワイヤーのスロットルが改良されているので、小開度でのスムーズな走りと、ガバっと開くとよりワイドに開いて本気のパワーを出しやすくなった特性をうまく両立させていたね。

小鳥遊:ストリートでの走りでは1300ccという排気量を考えると鋭すぎず乗りやすいところに好感を持てました。バイクの経験値がある人は誰でも乗りやすく感じるのではないかなというのが私の印象です。シート高は835mmなので、ちょっと足着きは厳しかったですけどね。

丸山:身長168cmの僕で両足つま先立ちという感じ。引き起こしはちょっと簡単というわけにはいかないけど、それでもガソリン抜きで198kgという車重の軽さが救いになっているかな。

タンデムやロングツーリングメインなら「GT」を推したい
小鳥遊:グランドツアラーのGTは、身長160cmの私だと片足がようやく着く感じ。車重が軽いので引き起こしが絶対に無理というわけでもないのは意外でしたけど。

丸山:シート高は835mmなのでRと同じなんだけど、幅広シートになっているのでギリギリ両足つま先接地と厳しく感じた。馬力の方はRより5ps少ない175psだけど、そもそもストリートで全開で使う場面はまず無いからね。

小鳥遊:この排気量ですしVツインということもあってか、ストリートではほとんど回さずに済みますよね。そこが扱いやすさにもつながっていると思います。GTとして私が気に入ったのはタンデム性能です。GTにはRに無いタンデムグリップがあって、これが握りやすくてすごく安心感があります。

それにタンデムシートがとても広いんですよ。ライダーと隙間が空くほどあまりに広いのでタンデムが不慣れな人は不安かもしれないですけど、ロングツーリングで窮屈なのと広いのとどちらがいいと言われると、私は広い方を選びそう。

丸山:ガソリンタンク容量も約23リットルとRより7リットルも多くて、車重約216kgもこのクラスのライバルより15kg程度は軽いのかな。1人乗りで元気にいきたいならR、タンデムやロングツーリングメインならGTを推したい。

「R Evo」の電子制御セミアクティブサスの優秀さに感動
小鳥遊:そして最上級のR Evoです。

丸山:セミアクティブということで速度域や走り方に合わせて自動で瞬時にサスの硬さを変えてくれるんだけど、これが実に優秀。街乗りで使う速度域では柔らかくて、ギャップを乗り越えたときもRやGTよりしっとりしていて乗り心地がいいくらい。その一方で、峠を攻めたときやガツンと強力にブレーキをかけたときなどは、スーパースポーツのようなしっかり踏ん張る硬さを見せてくれる。

スタンダードのRでも、工具を使った調整でサス設定を変えられるのだけど、街中と峠でいちいち作業をするのは大変じゃない? 何もしなくてもシチュエーションに応じてサス設定が変わるのは、とても嬉しい。ただ、エンジンをかけないとサスは硬い設定のままで、跨ってもほとんど沈み込まないんだよ。だから、走り出す前の足着きはGTと同じかそれ以上に厳しく感じてしまった。

小鳥遊:電制サスの乗り心地はいいかなと感じたんですけど、私だと全体的に最高出力や車格、足着き的にも使いこなしきれないと感じたのが、ちょっと悔しかったかなあ。

丸山:180psに約200kgなんてスペックは、もともとフルカウルのリッタースーパースポーツ並みだから、そこは仕方ないかもね。それこそ本来は体格のいいヨーロッパのベテランライダーたちがブイブイいわせて乗るモデルなんだよ。そんな実力を持ちながら日本の街乗りやツーリングでも意外と乗りやすい性格を持っているというのが、今回一番の収穫だったと思うよ。

1290スーパーデューク R
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

1290スーパーデューク GT
■5つ星評価
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

1290スーパーデューク R EVO
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

小鳥遊レイラ|愛称:ことりちゃん
レースクイーンに憧れてモータースポーツ業界へ。しかしMOTOR STATION TVでの出演をきっかけに走る方に目覚めてしまい、いきなり大型二輪免許を取得。現在では2輪4輪共にサーキットを走り、一昨年に4輪のレース参戦のためJAF国内A級ライセンスを取得。先日、MFJロードレース国内ライセンスを取得して、今年は2輪でもレースに参戦予定。イベントMCから2&4輪の耐久レース参戦まで楽しむモータースポーツ女子。身長は160cm。

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデュークと小鳥遊レイラ(左)と丸山浩(右)《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R EVO《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク R《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 KTM 1290スーパーデューク GT《写真撮影 WITH ME》 丸山浩氏《写真撮影 WITH ME》