FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》

暑い季節は海!! というわけで、8月6〜7日に開催された「アソモビ2022」にはFAF:フォレスト・オートカー・サービスが3台のレトロな“ビーチカー”を出展していた。『ビーチバン』のスリットルーフにはヒノキ材が使われている。この背景にはFAFの被災経験があるという。

FAFの資料によると、ビーチカーとは、1960年代のヨーロッパを中心に、ビーチリゾートの足としてビーチからホテルまで、濡れた水着のままで移動するための車だ。ドアや屋根もなく、籐で編み込まれたシートなどを備えていた。アソモビ2022にFAFが出展したビーチカーシリーズは、こういったビーチカーをイメージした、非日常を味わえるような車だ。

3台の中で最初に作られたのは『ビーチクルーザー』だ。FAFの戸森彰信代表取締役はもともとビーチカーの製作を考えており、ベース車として『バモスホンダ』を入手して開発に取り掛かろうとしたところ、2019年の台風15号により、倉庫の屋根が吹き飛ぶなどの被害を受けた。

FAFが本拠をおく千葉県多古町は緑豊かな街だが、その多くは人の手が入らなくなった荒れ放題の森林だという。手入れされなくなった木々は台風に耐えられず倒れ、電力線を切断、街の人々は10日間の停電を経験した。この台風の経験で戸森取締役は森林保全や地域材の活用を痛感した。人によって作られた平地林で人は、樹木を薪や農具、家の材料などに活用していた。しかし生活様式の変化により林に人の手が入らなくなった。手入れされない木々は大きく育ちすぎ、倒木や枯れ木になって林は荒れる。

埼玉県西部でも「さんとめ(三富)」と呼ばれる平地林を活用してきたが、やはり人の手が入らなくなって林は荒れた。さんとめの森林保全や地域材の活用を目的とした活動を行ない、間伐材を使用して家具や木製品を製作しているのが高村クラフト工房(埼玉県ときがわ町)だ。工房の高村代表と出会った戸森取締役は、ビーチクルーザーの木材部分について、高村クラフト工房に製作を依頼することにした。

ビーチクルーザーのウッドデッキにはヤマザクラとコナラが使用されている。ビーチクルーザーは東京オートサロン2020に出展され、2021年の『ビーチバギー』と合わせて3部作となったビーチカーシリーズは、シデやスギなどの地域材を各所に使用している。

FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真提供 アソモビ実行委員会》 FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真提供 アソモビ実行委員会》 FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチバン(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチクルーザー(東京オートサロン2020)《写真撮影 中村孝仁》 FAFビーチクルーザー(東京オートサロン2020)《写真撮影 中村孝仁》 FAFビーチクルーザー(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチクルーザー(アソモビ2022)《写真提供 アソモビ実行委員会》 FAFビーチクルーザー(東京オートサロン2020)《写真撮影 中村孝仁》 FAFビーチバギー(アソモビ2022)《写真提供 アソモビ実行委員会》 FAFビーチバギー(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 FAFビーチバギー(アソモビ2022)《写真撮影 高木啓》 ビーチカーの例:フィアット500ジョリー・スピアッジーナ《photo by Fiat》